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2017年8月22日

9127:白内障手術で認知機能が改善することも;記事紹介

61xM+RWoDPL__SX370_BO1,204,203,200_視力の悪い人は認知症になりやすい!? 白内障手術で認知機能が改善することも

2017.8.16 07:00

 

神経眼科医清澤のコメント:

 視神経萎縮や緑内障のある患者では後頭葉視覚領の糖代謝は低下している。また、アルツハイマー病では視覚連合領に糖代謝の低下がある。

 そこで、「両眼に強い白内障がある患者に白内障手術をしたら、脳のブドウ糖代謝が増加するのではないか?」という研究テーマを白内障手術の大家の清水公也先生に提案され、パイロット研究を企画したことがあった。然し、白内障両眼手術前後の脳ブドウ糖代謝を測ることができた人は居らず、この研究は頓挫した。

この記事を読むと、「筑波大学では、白内障の手術を受けた88人を対象に、手術前と手術2カ月後に「見えやすさ」と「認知機能」の変化について調査した。」という。「手術後の視力改善により、認知機能の改善、うつ症状の改善、QOL(生活の質)の向上がみられた」ということである。その分析はpaired tで平均値の差を求めればよいかと思われ、その結論に異論はない。きれいな結果が出たとすれば、症例数も多く、その症例の絞り込みも合理的に出来たということなのだろうと思う。

 

―――引用開始―――

『家族で読む予防と備え すべてがわかる認知症2017(週刊朝日ムック)@朝日新聞出版@980

 

加齢により避けることができない白内障──。白内障による視力の低下が、認知機能の低下につながるとする研究が近年、進められている。白内障の手術で視力が回復すると認知機能も改善したというデータもある。週刊朝日MOOK「家族で読む予防と備え すべてがわかる認知症2017」では、専門医を取材した。

 

*  *  *

白内障とは、加齢などによって眼のレンズである水晶体がにごる病気だ。本来、外から入る光は水晶体によって屈折し、網膜に像を映すが、白内障などによって水晶体がにごると光が正常に屈折されず、網膜に適切な像が映らなくなる。

 

すぐに失明してしまうなど緊急を要する病気ではないが、視界がぼやけたり、ものが二重に見えたりという症状から始まり、進行すると視力が低下して日常生活に支障をきたすようになる。

 

白内障の原因のほとんどは加齢で、早いと40代から発症し、年齢が上がるにつれ有病率も上がる。80代では100%、つまり、すべての人にみられる。

 

視力の低下が、記憶や理解、学習などの認知機能に影響を及ぼす可能性については、近年研究が進められている。視力は、聴力と同様、脳に多くの情報や刺激をもたらし、「脳に送られる情報の80%以上が眼を通して入ってくる」ともいわれる。認知機能の低下に結びつく原因として、視力が低下して眼からの情報が減るために、脳に送られる情報が減少し、その状態が長く続くことで脳の働きが低下することが考えられる。

 

また、ものが見えにくくなることで、活動量が減ったり、閉じこもりがちになり人とのコミュニケーションが減ったりすることも、認知機能の低下につながる可能性が考えられる。

 

日本眼科学会理事長で筑波大学教授の大鹿哲郎医師はこう話す。

「光が網膜に届かないことによる影響も考えられます」

健康な状態では、光が網膜に届くことで、脳の下垂体などから分泌されるホルモンがコントロールされ、体内時計が正常に働いている。しかし、水晶体がにごり、網膜に光が当たらないことでホルモンの状態が変化するという。

「それによって睡眠障害や生活リズムの乱れ、意欲の低下などがみられることがあり、認知機能に影響を及ぼす可能性が考えられます」(大鹿医師)

筑波大学では、白内障の手術を受けた5593歳の88人を対象に、手術前と手術2カ月後に「見えやすさ」と「認知機能」の変化について調査した。「MMSE」は30点満点で、点数が高いほうが正常を示す認知機能テストだ。その結果、手術後の視力改善によりものが見えやすくなり、認知機能の改善、うつ症状の改善、QOL(生活の質)の向上がみられたという結果が得られた。

 

■視力の悪い人は発症リスク高い

また、奈良県立医科大学で、3千人の高齢者を対象として実施された大規模疫学調査でも、視力のいい人は悪い人と比較して認知機能が高く保たれており、視力の悪い人はいい人より認知症の発症リスクが高いと報告されている。
大鹿医師は次のように話す。「視力の低下により、引きこもりがちになってほとんど寝たきりのような生活をしていた人が、手術をして視力が回復したら元気に歩き始めたケースもあります。また、自分の身なりに関心を持たなくなって、髪もとかさずに診察に来ていた女性の患者さんが、術後はきれいにお化粧して来るようになることもよくあります。『見える』ことは、認知機能だけでなく、人の意識やQOLにも大きな影響を与えるものだと実感しました」
ただし、筑波大学の調査では、対象者に「すでに認知症を発症している人」は含まれておらず、認知症を発症した後に白内障の手術をしても、認知症が治癒することはないとされている。
「認知機能の低下」と、実際の「認知症の発症」とはイコールではなく、視力の回復により認知症を予防できるかどうかまでは、現状ではわからないが、大鹿医師は「見えないよりは見えたほうが、人の心身の健康にとって良いことは明らか」と話す。
加齢によって白髪になるのを防げないのと同様に、白内障も予防することはできない。しかし、白内障は手術をすれば治り、視力を回復させることができる病気だ。手術をするタイミングについて、大鹿医師は「本人が不便と感じたとき」という。
「白内障でも、生活に不便を感じなければ急いで手術をしなくてもいいでしょう。ただし、見えにくい、まぶしいなど不便がある場合には早めに手術することをすすめます」(同)
白内障の手術では、角膜を小さく切開してにごった水晶体を取り除き、水晶体の役割をする眼内レンズを装着する。日帰り手術も可能で、からだへの負担も軽く安全性の高い手術といえる。
また、白内障以外にも視力が低下し、しかも、早期に治療をしなければ視力の回復が見込めなくなるリスクのある眼の病気もある。認知機能やQOLを維持するためにも、見えにくさや不調を感じたとき、「年だから見えなくても仕方ない」と考えるのではなく、早めに眼科を受診することが大切だ。(取材・文/出村真理子)――引用終了――


Categorised in: 白内障