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2017年1月25日

8624: 白内障点眼は有効か?という質問へのお答えです。

 当医師に対して白内障の点眼薬カタリンは有効か?という質問が旧知の報道関係者から寄せられました。

。私の見解としては「効くようだけれどその効果は進行を遅らせる程度だから、ある意味、限定的」、「白内障の根本的治療は手術だが、即時手術を要するというわけでもない。」という事になります。代表的なそれぞれの見解を時系列に沿って抄出してみましょう。

(「はい眼科」様の記事http://hai-eye.com/index.html他も参考にしていますが、引用した各記事はすべて原典に戻って確認してあります。引用に不備があれば文責は私です。)

 まず、一時期、「白内障点眼薬は現代のエビデンスに基ずく分析をしたら、明らかな効果はみられないのではないか?」という疑義が提出されたようです。このころ、あるいはそれに前後して厚生省研究班からの次の見解が出されていました。

それは。厚生労働省が出した白内障予防医療に対する見解(H14 2002年)の中に出てきます。出典は(http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php#)でした。その中を開いてゆくと、

「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究 」というものが掲示してあり、その発行年月は2002/03 監修・著編者は当時の獨協医科大学教授であった小原喜隆教授でした。 記事は、厚生科学研究補助金 21世紀型医療開拓推進研究事業「科学的根拠(evidence)に基づく白内障診療ガイドラインの策定に関する研究」班 というものでした。世界の文献を分析し、カタリンについては現状では効くとも効かぬとも言えないという評価です。全体としても報告書はありますが、文献としてのガイドライン作成には至らなかったようです。

それを見ると、様々なことが書いてありますが、白内障薬物療法については、

〇 薬物療法は薬効を評価する有意な客観的臨床成績に欠けているようである。 しかし、白内障治療薬に効果がないとする成績も見当たらないことから、使用に際しては正しいインフォームドコンセントが望まれる。

〇 文献検索方法に則り選択された文献は残念ながら英文誌が多い。 我々は多施設、多数例、長期間観察によるランダム比較試験を行って得た成績を適切な統計処理によって分析を積極的に行う必要がある。

〇 特に加齢白内障は加齢を基本としているために急性疾患でないことからevidenceを造るのが難しい。 系統化された臨床研究組織体制を作ってRCTに基づいた論文を報告すべきである。

◎したがって、evidenceに基づく診療ガイドラインの作成は甚だ難問であった。ーーとされていました。

この辺りから、「白内障点眼薬は効かないかもしれない」といううわさが巷に流れたのかもしれません。

②これに対して金沢医科大の佐々木洋先生たちはポーランドに製剤を提供して、ピレノキシンの有効性に関する共同研究を実行して、その有効性を示そうとした模様です。

 私がその成果を講演会で聞いたのは昨年でしたが、佐々木先生は共同研究とおっしゃいましたが、共著者のなかにお名前が入っていなかったので、出典を見つけるのには多少苦労しました。この論文の発行は2004年です。

Kociecki J, Załecki K, Wasiewicz-Rager J, Pecold K. Evaluation of effectiveness of Catalin eyedrops in patients with presenile and senile cataract. Klin Oczna. 2004;106(6):778-82. Polish.
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初老と老人の白内障を持つ患者へのカタリン点眼薬の有効性の評価

研究の目的:
カタリン点眼の有効性を、現在の混濁の抑制、または実際の白内障混濁の抑制効果で判断する。

患者と方法:
視力が0.5以上で、初期の皮質混濁を持つ40歳以上の72人の患者が含まれる。35人の患者が白内障治療薬カタリンによって処置され、37人にはプラシーボを使う。すべての患者は、研究を始める前および3、6、12、18、および24ヶ月間の治療の後に、細隙灯とEAS-1000(ニデック)で評価した。

結果:

皮質の白内障を持つ患者でのカタリン点眼は、59歳までの患者グループにおいてレンズ混濁化の抑制およびその増加抑制においてその有効性を示した。このグループのレンズ混濁化の増加は1.425%(カタリン)であり、高齢者の偽薬群では9.228%であった。18ヶ月間の処置の後に、薬の効果が観察できた。カタリン点眼は研究の間に合併症を起こさなかった。

結論:

1.高齢ないし初老の皮質白内障を持つ患者において使われたカタリン点眼は、レンズ混濁の効果的な抑制薬である。
2.薬の機能は、年上群に比べて、59歳までの若い患者の群でより明らかである。
3.18ヶ月の処置後に、薬の有効な効果が観察できた。
4.カタリン点眼は、長期間の点眼でも患者には耐えられる。

③日本白内障学会が上記の論文を紹介して、その評価も加えています(掲示日時は不祥です):

『ピレノキシン(カタリン®)点眼液に関しては、程度の軽い皮質型の白内障に使用した場合に、白内障の進行を遅らせる効果があったことが、2004年にポーランドと金沢医科大学との共同研究で報告されています。これは、59歳以下の群で、混濁面積20%以下という初期の皮質白内障に対しピレノキシン点眼治療を開始した場合、投与後18ヶ月目において、コントロール群と比較して白内障進行の抑制効果がみられたという結果でした。ちなみに混濁面積が20%よりも大きい皮質白内障や、核白内障、後嚢下白内障、60歳以上の白内障群では進行抑制効果が確認できませんでした。
現在承認されているこれらの点眼薬に関しては、点眼開始時期、投与開始年齢など、使用条件の再検討をすることが必要になってきています。

Categorised in: 白内障