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2016年5月8日

7726:白内障術後の眼内炎発症率は0.02%:記事紹介

白内障術後の眼内炎発症率は0.02%:ネット記事のご紹介

第120回日本眼科学会総会

学会レポート | 2016.05.05 07:00:
 白内障手術は普及している眼内手術の1つだが,術後眼内炎の発症に関するデータは明らかにされていない。わが国の術後眼内炎の発症率と危険因子を特定するための前向き多施設共同研究が行われ,術後眼内炎の発症率は0.02%であることが明らかとなった。多根記念眼科病院(大阪市)の井上智之氏が第120回日本眼科学会総会(4月7~10日,会長=山形大学眼科学教室教授・山下英俊氏)で報告した。(詳しくは続きへ)

眼科医清澤のコメント:ある種の国内メーカーレンズでは術後眼内炎が起きていたことが聞こえてきたし、別の会社レンズでも最近残留したアルミニウムによる同様な事故があったと聞いている(⇒http://www.nichigan.or.jp/news/m_313.jsp)。しかしネット上でその概要を探してもその総括的な解説で原因まで踏み込んだ新しいものは見つからなかった。
 
 この報告でも「調査期間中,HOYA製のシングルピース眼内レンズ挿入例における眼内炎症が多発し、」、ということで、それを除いた結果だと断っている。(特定のメーカーに不利ということで、眼科学ではそれを正面から論ずることはタブーなのだろうか?)

 このような白内障術後の炎症でも無菌性のものはToxicanteriorsegmentsyndrome(TASS)と呼ばれる。(⇒https://www.kiyosawa.or.jp/archives/53524008.html)この研究がまとめたのは、そのような無菌性のものではなく、感染性の眼内炎である。この研究で把握されたのは6万件の手術に対して25件であった。日本の年間白内障手術数は100万件であるから、十分なサンプル数である。

 レンズに明らかな原因があるものを除いてのこの数字0.02%の術後眼内炎ということは、記憶しておいてよい数字であろう。少し前だと0.05%(2000例に1例)という記述が散見される。

   --記事の引用--
205施設からの白内障患者6万3,000例を調査

 同研究は日本眼内レンズ屈折手術学会(現:日本白内障屈折矯正手術学会)と日本眼感染症学会が主導し,日本眼科学会の後援で行われ,眼内炎の発症率や危険因子,周術期の実態などについて検討された。2012~13年に水晶体再建術を受けた20歳以上の患者を対象として,参加施設に対して患者背景や術前・術中・術後8週までの周術期に関する情報をウェブ上で入力してもらい,眼内炎発症例については臨床像や治療経過に関する報告を求めた。

 総登録数は6万3,244例で,51大学,75病院,79クリニックの計205施設が参加した。手術時年齢は平均73.3歳で,男性41.3%。眼手術歴ありが0.4%,糖尿病の有病率は17.5%だった。術式は超音波乳化吸引術(PEA)99.5%,水晶体嚢外摘出術(ECCE)0.5%,水晶体嚢内摘出術(ICCE)0.1%だった。

 その結果,眼内炎発症例は25例で,発症率は0.04%だった。水晶体再建術施行から発症までの期間は平均22.7日で,術後4週までの急性細菌性眼内炎は13例(0.02%),5~8週の遅発性眼内炎は12例(0.02%)だった。

眼内炎例のほとんどが術後4週以内に発症

 調査期間中,HOYA製のシングルピース眼内レンズ挿入例における眼内炎症が多発し,日本眼科学会が調査委員会を設け,該当レンズが非感染性眼内炎に関与していることが報告された。同研究の眼内炎症例において多重解析すると,同レンズの使用は眼内炎のリスクが有意に高かった。

 該当レンズを使用した1万261例を除外した5万2,983例を解析したところ,眼内炎の発症例は13例で,発症率は0.02%だった。井上氏は「眼内炎の発症は非常に少ない結果となったが,要因分析を行うには不十分な症例数のため,眼内炎発症に関する要因としては一定の関係を見いだせなかった」と指摘した。

 眼内炎を発症した13例については,手術時年齢が平均77.6歳,PEAが12例,PEAからECCEへの変更が1例だった。白内障手術から眼内炎発症までの平均発症日数は15.2日で,術後4週までが11例(0.02%),5~8週が2例(0.004%)だった。

 以上から,同氏は「白内障術後眼内炎の発症率および周術期の一端が明らかとなった」とまとめた。

(林 みどり)

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