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2010年2月20日

1291”インターネットフォーラムに集まる多焦点眼内レンズへの不満”という記事を見ました

アメリカ眼科学会が管理するフォーラムには老視矯正眼内レンズに偏って患者の苦情が殺到しているという記事が海外最新手術情報を伝えるビジョンタイムス日本語版(Vol17: No1,PP17-19)に出ています。(一部改訂2020.4.27)

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この話題は先日の日本経済新聞に出た清水公也北里大学教授の記事にも通じるものがあり、白内障手術を手掛ける眼科医ばかりでなく、これから白内障手術を受けようかと考えている患者さんにとっても重要な問題点を提起しています。

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私はまだこの特殊な眼内レンズを移植された患者さんを拝見したことがありません。また、特に経済的な余裕があったり、高い社会的な地位を持った患者さんを拝見した場合などにはこのレンズの適応を考えてみなかった訳でもありませんが、いまだに治療にかかる全額が私費医療になるこのレンズの移植に患者さんを紹介したことはありませんでした。

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日本国内でもこのレンズの使用は始まっているようですから、全くこのレンズにかかわらないで済んだということは、時代に遅れたのではなく実は幸せなことだったのかも知れません。

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問題の論文はInternet Furum Track Patients’ IOL concernsというもので、ホーガンJC3世とカットリブMJの2人が著者です。

ーーー報告の要点(引用開始)ーーー

この記事によりますと、2つのインターネットファーラムで確認された投稿記事の総数は790件。そのうち341件で不満の分析が出来たと言います。

著者は、これを曇って見えると言うのも含めた光が変に見える(dysphotopsia)、夜間視力障害、霧視、思いがけず眼鏡に依存せざるを得なくなった状態、疼痛、網膜およびその他の問題に関して患者の満足度別に分類したと言います。

その結果は、老視矯正眼内レンズを挿入された患者が投稿した苦情の多さに愕然としたと言います。

とりわけ多かったのは光が変に見える(dysphotopsia)と言う訴えと、霧視の訴えだそうです。これらの特殊な眼内レンズは患者のおよそ10%に使用されているに過ぎないにもかかわらず、苦情件数は通常の単焦点眼内レンズへの苦情の6.87倍にも上ったそうです。(ですから訴えの頻度は68倍!)

追加の調査でも、老視眼内レンズ挿入者からの投稿240件の70%が不満を抱いていた。その大半はグレア(まぶしさ)とハロー(月が傘をかぶったようなぼやけ)が68%、夜間の視力障害(59%)、眼鏡の必要(58%)であったと言います。

問題は術後の視機能に関する報告がほとんどないということにあるようです。著者は、多重焦点眼内レンズにはこのような多くの不満があることを、すべての白内障手術をする術者に知っておいてほしいと結んでいます。

もうひとつの話では、2009年になると不満を買うレンズが特定の銘柄に偏ったとされています。
ーーー(引用終了)ーーーーーー

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清澤のコメント:
レーシックと同様に、多重焦点眼内レンズにも眼を疲れさせる要素があるようです。
特定の銘柄の毀誉褒貶を論ずるのはこのブログの趣旨ではありませんし、どの銘柄が日本国内に入っているかも私は知りませんので、そのあたりはこのブログ記事からは割愛しました。

多焦点眼内レンズには、一つの画像の中に2つの要素を共存させ、必要な方の情報をピックアップさせるという方式にはそれなりの無理があるのかもしれません。

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老視用のコンタクトレンズでもすべての患者が実際に使いこなせる訳ではないということは、我々町の眼医者なら日常経験しているところです。無責任な発言ですが、眼内レンズでそれを試そうとするならば、前持って多重焦点コンタクトレンズを付けさせてみて、耐えられるかどうかを見るのもよいかもしれませんね。試される方がおられましたら、私はその方法へのプライオリティーは主張しませんからお試しになって結果をおみせください。

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PETで脳の糖代謝の分布を見たら、多焦点眼内レンズで眼精疲労の訴えのある患者さんの脳には何らか糖代謝分布の乱れも見られるのかも知れませんね。

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もっと簡単には、おそらく空間周波数特性を見たら、多重焦点レンズで作られる像の劣化は表現出来そうに思われます。1.0以上の矯正視力があっても何となくかすんで見えると言うのは、視神経炎が治った後の患者さんがしばしば訴える症状です。

実際にこの問題を抱えた患者さんや眼科医は少なくないと思われます。
多焦点眼内レンズを挿入後に、このような訴えを訴えを述べる患者さんが出てしまった場合には、保存的に宥めてゆくのでしょうか?
それとも、大きな危険を冒さないで、従来型のレンズに入れ替えることも可能なのでしょうか?

もう何年か前に自分で白内障の手術からは撤退し、さらにその何年も前に硝子体手術からも遠ざかった私には、この入れなおし手術はそんなに容易な手術であるとは思えません。現在の優れた機械と技術をもってすればさ程困難ではないのかもしれませんが。

Categorised in: 白内障