お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2021年7月16日

12990:眼瞼痙攣の診断と治療 清澤源弘、小町祐子 清澤眼科医院:自著投稿論文紹介です

清澤のコメント:この文章は、編集者からの依頼により「形成外科」(克誠堂出版)に2020年12月に投稿し、2021年6号に収載されたものです。医療関係者及び患者さんの供覧の為に、その出版完了を待ちテキスト部分をこのブログに採録しました。図表はダウンロードで見られます。したがって、最終印刷版とは多少の差異があります。この文章は「形成外科」特集:眼瞼痙攣の病態生理と診断・治療(末尾に目次等採録)に含まれています。優れた特集です。疾患に関心のある方は雑誌のこの号をお買い求めください。

  ――――――

はじめに

 眼瞼痙攣は、眼輪筋を中心とした眼周囲筋の不随意な攣縮を来す局所性ジストニアである1)。局所性ジストニアでは最も多い疾患であるが、症状の特性上、ドライアイや不定愁訴として見過ごされているケースも多いと考えられる。実際には本態性、薬剤性を含めて相当数の患者がいると推定される。筆者の医院では、新患の2〜3%を占めている。眼瞼痙攣は一般的な視機能検査では正常な結果が出る一方で、見えづらさや不快感は相当であり、患者の見え方の質(quality of vision: QOV)、生活の質(quality of life: QOL)を大きく損なうものである2)3)。本稿では病態の臨床的特徴を踏まえ、診断のコツと治療方法について述べる。

.眼瞼痙攣の検査と診断

眼瞼痙攣の脳内の責任病巣など、詳細な病態については前項に詳しい。ここでは患者の主訴をもとに、その臨床的な症候と検査および診断方法について述べる。

1)臨床所見-眼瞼痙攣患者の主訴と3つの症候-

 眼瞼痙攣は「痙攣」という運動性症状の病名であるにも関わらず、痙攣様の症状を訴えて受診することは必ずしも多くない。患者の主訴で最も多いのは、調査によって多少異なるが、「目を開いていられない、瞑っていたい」といった開瞼困難、または、「眩しい」、「目がしょぼしょぼ、ごろごろする」、といった感覚症状である。一見、不定愁訴を思わせるこれらの訴えが、眼瞼痙攣の症候を如実に表している。

眼瞼痙攣には、運動症状、感覚症状、精神症状の3つの症候がある。運動症状は眼瞼の開きにくさや瞬目のしづらさ、瞬目過多といった眼瞼の動きに関わる症状である。感覚症状は、眼の不快感や羞明感、あるいは疼痛を訴えてくることもある。いずれもかなり強い訴えである。さらに、ドライアイも必発といってよいほど合併しているケースが多く4)5)、これらが感覚症状に強く影響している場合もある。精神症状は、抑うつ傾向を示す。これらの症状によって患者は日常生活上の見えづらさを自覚しているが、視力検査などの一般的な定量的検査結果には異常を認めず、訴えを裏付ける所見を捉えることは難しい。主訴に基づき眼瞼痙攣を疑い、3つの症候に対する定性的な評価をおこなう。加えて、他の病歴などの聴取を丁寧におこなっていくことで、診断にいたる。

2)診断のための検査6)とその結果

 眼瞼痙攣患者が眼科(筆者の医院)を受診した際の手順を述べる。

 まず、問診票の記載に基づき簡単な現病歴の聴取をおこなった上で、視力・眼圧といった一般眼科検査をおこなっておく。その上で診察室に呼び入れ、眼瞼痙攣を疑って眼輪筋の動きを観察しながら詳しい問診と、前眼部や中間透光体、眼底の検査をおこなう。この際、細隙灯顕微鏡にて涙液層破壊時間(tear film break-up time: BUT     )および点状表層角膜症(superficial punctate keratopathy: SPK)の有無にて眼表面の涙液の安定性を、涙液メニスカスにて結膜嚢内の貯留量を確認し、涙液の質の低下によるドライアイの有無をみておく。ここまでの検査を終えたら、再度、明室に出てもらい、眼瞼痙攣の精査を以下のごとく進めていく。

i)眼瞼痙攣質問表(表1)

 明室ではまず、症状の状態を的確に把握するために「眼瞼痙攣調査質問表」に該当するものがあるか質問していく。本表は若倉によって、眼瞼痙攣眼瞼痙攣患者が訴える主訴や愁訴の中から頻度と特異性が高く重要と考えられる項目が抽出され、10項目にまとめられたものである7)。図1に、当院で眼瞼痙攣患者100例におこなった本表の結果を示す。何れにも該当しない患者もみられるが、平均4.5項目程度に当てはまると回答し、すべてが該当すると回答する患者もみられる。折に触れ集計しているが、概ねこの傾向は変わらない。該当項目1~2個で「眼瞼痙攣疑い」、3個以上であれば「眼瞼痙攣」、と言われている。図1の結果においても9割以上の患者が3項目以上に当てはまると回答していることから、やはり、3項目以上該当すれば、この段階で眼瞼痙攣と診断してほぼ間違いない。また、項目別に「該当する」と回答した人数を図2に示す。最も回答頻度が高いのは、項目3の「眼をあけていられない(つぶっていたい)」であった。この項目は、運動症状としての開瞼の困難さである場合と、感覚症状である羞明や不快感による場合、また、その双方による場合といった可能性があり、該当者が多くなると考えられる。2、3番目に該当者数の多い項目4と2は、いずれも感覚症状を示すものであり、この疾患における感覚症状の強さを示している。項目5〜8はこれらの症候によってもたらされる生活上の不具合についての質問である。この4項目では項目5の回答頻度が最も高く、まったく不随意かつ不意に閉瞼が起き、危険な状況にさらされることを示している。

ii)随意瞬目テスト(表2)8)

  次に、「瞬目テスト(誘発テスト)」として「軽瞬」「速瞬」「強瞬」をおこなってもらう。「軽瞬」は前頭筋を使わず上眼瞼挙筋のみを使った歯切れ良い瞬きである。いわゆる自然瞬目を2回/秒程度の速度で10秒間、リズミカルにおこなってもらう。「速瞬」は、可能な限り速い瞬きを10秒間続けてもらう。「強瞬」は、ギューっと瞑った後パッと開瞼する動作を10回繰り返してもらう。それぞれ表2に示す4段階で評価する。本人にも、評価基準とは別に、同じく4段階で自己評価してもらっておく。比較的軽症な患者の場合、各瞬目とも、最初はうまくできるように見えるが、繰り返すうちにつまずきを見せる症例もあるため、規定にしたがって評価を実施する。評価の合計点が高いほど運動症状が強いことを示しており、前述の「調査質問表」で点数が低かった症例でも随意瞬目テストの評価が高ければ、眼瞼痙攣と診断する。

iii)アメリカ国立精神保健研究所疫学的うつ尺度(Center for Epidemiologic Studies-Depression Scale: CES-D)

  次いで、精神症状について、CES-Dを用いて評価する。直近1週間の精神状態について20項目の質問に対し、どの程度の割合で該当するか「0~3」の4段階で回答してもらう。60点中16点以上で気分障害(うつ症)と判定する。眼瞼痙攣の症候は精神状態に影響しやすいと言われている。また、もともと向精神薬を長期に服用している場合、薬剤性に眼瞼痙攣を発症することがあり9)、これらのケースでもCES-Dは概ね高いスコアとなる。精神症状の評価は診断の決め手ではないが、診断の一助である。また、治療による症状の改善とともにうつ症状も軽減していくことがあり10)、治療効果のひとつの目安になる。

iv)病歴・服薬歴・眼科手術等既往歴の聴取

 最後に、服薬歴や眼科治療の既往歴の聴取をおこなう。ベンゾジアゼピン受容体作動薬を中心とした精神科系薬剤の服用歴の聴取は薬剤性眼瞼痙攣の診断に肝要である。また、パーキンソン病などによる症候性眼瞼痙攣の可能性も含め、服薬歴の聴取が必要となる。

さらに、白内障や眼瞼下垂といった眼科手術歴も眼瞼痙攣の誘因となるケースがあり、時期を含めて聴取しておく。

v)シルマーテスト(図4)

 対面での質問、評価の後、シルマーテストで涙液貯留量の検査をおこなう。試験紙を下眼瞼の両端に挟み、5分間で10mm以上の分泌を正常とする。筆者は反射性分泌による誤差を避けるため、点眼麻酔下でおこなっている。眼瞼痙攣では10mm以下のケースが多い。

3)鑑別診断2)6)

 鑑別診断を要する疾患を表3に示す。

ドライアイ:前医での診断・治療で改善されず、ドクターショッピングに陥っているケースが最も多い疾患である。症状が眼瞼痙攣の感覚症状に類似し、所見がドライアイの診断基準に多く含まれるため、鑑別は難しい。また、両者の合併が高頻度であることも鑑別をさらに難しくしている。しかし、ドライアイ単独例では瞬目過多などの運動症状は見られない。また、点眼治療に効果がみられない、あるいは却って悪化した、と訴える場合には眼瞼痙攣を強く疑い、質問表や瞬目テストを実施する。

 前部ぶどう膜炎:強い疼痛や羞明など、感覚症状に類似した訴えで受診する。これは、細隙灯顕微鏡による観察で前眼部に炎症所見がみられるため、眼科を受診すれば鑑別は比較的容易である。

 片側顔面痙攣:片側の顔面神経根部が脳幹から出る部位で脳底の血管と接触、圧迫を受けることにより圧迫側の痙攣を発症する。眼瞼痙攣の中に、片目をつぶってしまうケースが少なからず存在し、誤りやすい。顔面痙攣では同側の頬、口角部まで痙攣が広がるのが鑑別所見である。

 眼瞼ミオキミア:目の周囲で波動様の痙攣が断続的に起きる。感覚症状はなく、痙攣部位も限局しており瞬目の異常は来さない。

 開瞼失行症:眼が開かない、手や指を使わないと開けられない、といった症状が酷似している。上眼瞼挙筋の異常であり、前頭筋によって開瞼しようとするため、眉毛が眼窩縁より挙がる。一方、眼瞼痙攣は眼周囲筋の強い攣縮により眉間に皺を寄せ、眉毛部が眼窩縁より下に下がる点が鑑別のポイントである。しかし、多くの開瞼失行症は眼瞼痙攣に伴っているという事実もある11)

 眼瞼下垂:瞼が重く、眼が開けづらい。開瞼失行同様、前頭部を使っての開瞼努力がみられる。感覚症状はない。

 重症筋無力症:アセチルコリン受容体抗体の異常による自己免疫疾患で、疲労現象により眼瞼下垂がみられる。初期に瞼の小さな痙攣様所見が見られることがあり、眼瞼痙攣を疑われることがある。下垂の状態に日内変動がある。両者の合併例の報告もあるが稀であり、ボツリヌス治療により症状を悪化させてしまうため、正確な診断が求められる。

 パーキンソン病:眼が開けづらい運動症状が類似している。パーキンソンには無動などの全身症状がみられるため、鑑別は容易だが、症候性眼瞼痙攣として、合併する例もある。

.眼瞼痙攣の治療法5)12)

 眼瞼痙攣の治療として現在おこなわれているものを表4に示す。これらは全て対症療法であり、3つの症候を軽減する目的でおこなわれる。眼瞼痙攣には根治療法がないことを患者に伝えておく必要がある。稀に1度のボツリヌス療法で長期に亘り寛解を見せる症例があるが、基本的には生涯つきあっていく疾患であることを、最初に丁寧に伝えておくことが肝要である。いずれの治療も効果の期間が限られていたり、状況により変動したりするため、患者側の十分な理解の上でおこなわないと過度な期待を持たせることになり、後々の信頼関係に影響する。

  1. ボツリヌス治療(Botulinum toxin: BTX)

眼輪筋へのBTX投与は眼瞼痙攣治療の中で最も有力であり、保険適応となる唯一の治療である。筋の不随意運動を抑制して瞬目過多や開閉瞼運動障害の症状を軽減する。運動症状の軽減にともない感覚症状も軽快することがある。施注の実際は次項に譲る。

  • 服薬治療

 眼瞼痙攣に対し、高い根拠をもって使用できる内服薬はない。したがって、薬物療法のみで経過をみていくことは第一選択としないことが原則である。基本的にはBTX治療に補完的に処方する(表5)。ベンゾジアゼピン系の薬剤はGABAA受容体と共役して働き、眼瞼痙攣に対してそれなりの効果を示す。ただし、薬物への依存性や、主にベンゾジアゼピン系抗不安薬の長期投与が原因となっている薬剤性眼瞼痙攣も存在し13)、却って症状の重篤化を招く可能性もあることから、可能な限り少量の投与に抑え、十分に経過観察していく必要がある。さらに、比較的合併症が少ないことを考慮し、抑肝散化陳皮半夏、あるいは抑肝散などの漢方製剤の投与を試みることもある14)。いずれにしろ眼瞼痙攣に対して保険適応になる内服薬はなく、病名の考慮が必要となる。

  • 手術療法

眼瞼痙攣のBTX治療は保険適応のある唯一の方法だが、効果に抵抗性を示す難治例や、長期投与による効果の減弱例に対しては、眼周囲筋に対する観血的治療が選択される。術式は、眼輪筋切除術(広範囲切除および部分切除)、ミューラー筋縫縮術、前頭筋吊り上げ術、上眼瞼挙筋短縮術などの報告がある。最新の手術とその効果については本特集の5項以降に詳しく、参照されたい。眼科医の立場からは、三村らにより眼輪筋切除術とミューラー筋縫縮術の併用による効果の報告がみられる15)。術後、BTX治療の施注間隔が有意に延長するが、施注量に関しては差を認めなかったとしている。また、BTX治療を離脱できるものは1割以下であり、観血的療法は、BTX治療の補完的治療としての位置づけと考えられる。

  • ドライアイの治療

眼瞼痙攣に高率に合併するドライアイは、瞬目時の摩擦亢進を引き起こし、眼瞼痙攣の感覚症状を悪化させている可能性がある。しかし、ドライアイの治療だけで眼瞼痙攣症状は軽減しない。BTX治療にドライアイ治療を併用することで瞬目による摩擦を軽減し、異物感や疼痛などの症状を緩和させる目的でおこなうことが効果的である。治療法は、ドライアイ診療ガイドライン16)により実施することが推奨されている内容である。ドライアイの併発が認められたらヒアルロン酸、ジクアホソルナトリウム、レパミドなどの点眼を開始する。また、涙点プラグは点眼に比し涙液安定性に即時に著効するため、自覚症状が改善されやすい。マイボーム腺機能不全が認められる症例には、眼瞼温罨法やリッドハイジーンといった方法が推奨されることもある。

  • 感覚トリック

 感覚トリックは原発性ジストニアにみられる特徴で、特定の部位に感覚刺激が与えられることでジストニアが軽減する現象である。刺激によってジストニア軽減効果の出る部位は人によってさまざまで、経過のうちに部位が変化することもあると言われている17)。眼瞼痙攣患者では、眼の周囲や頬など、顔の一部に触れるケースが多くみられる(表6)。また、口を開ける、話をする、歌を歌うといった方法もある。眼鏡を装用している患者ではクラッチ眼鏡を使用する例もある。クラッチ眼鏡は眼瞼挙上の目的でなく、軽く瞼に触れることで効果を得られる。その他、小物を使う方法としては、マスクの装用やスポーツ用やスカーフで額の部分を押さえるといった方法もある。美容用のテープによる効果についての報告も見られる18)。これらは実際に感覚刺激をする例であるが、触れることをイメージする、他者から触れられるといった形で効果を得られるケースもあるとされている。

近年の研究では感覚トリックは眼瞼痙攣を含め、ジストニアの罹患期間や重症度との間に相関関係がないことが明らかにされている。感覚トリックのメカニズムの解明が新しい治療のツールになるのではないかと期待されている19)

  • 遮光眼鏡(医療用フィルター眼鏡)

強い羞明感は眼瞼痙攣の感覚症状のひとつである。羞明の程度は患者によりまちまちであるが、つば広の帽子を目深に被り、濃い色のサングラスを装用しなければ外出できないほどの羞明を訴えるケースもある。羞明による眼痛に苦しむ患者もいる。

遮光眼鏡は、眩しさの原因となる短波長光を効果的に減光し、その他の光はできるだけ通すように特殊加工された医療用のカラーフィルターレンズ眼鏡である(図5)。短波長光の減光により光の散乱によるグレアが低減し、コントラストを向上させることで見やすさをもたらす。近年では比較的広い波長領域で、さまざまな視感透過率のフィルターが開発され、羞明を訴えるさまざまな疾患に対応できるようになっている。また、上からの光や道路からの反射光によっても羞明を感じるため、側方や上方からの光も遮断するタイプやもともとの眼鏡上から装用するオーバータイプの遮光眼鏡もある(図6)。眼瞼痙攣の症例では、ブラウン系を選択することが多いようである。自然な見え方に加えて「見た目」についても一般的なサングラスに近い色が好まれるのではないかと思われる20)。しかし、羞明の程度によっては非常に色の濃いサングラスが選択される場合もある。

  • 心理支援

 眼瞼痙攣は完治する疾患ではない上、BTX治療に抵抗性を示し、その他の治療も奏功しないケースも一定数存在する。重症になると随意的に開瞼を維持することが困難になり、例え視覚機能に問題がなくても視覚活用が非常に難しいQOV不良の状態となる。ロービジョンに相当する程度の重い自覚症状をかかえQOLが大きく低下するが、周囲からの理解は得られづらく、患者はひとりで苦しむケースも多い。これらのストレスが、眼瞼痙攣症状をさらに悪化させることにもつながる。薬剤性の眼瞼痙攣患者のみならず、本態性の眼瞼痙攣患者においても、精神症状への対応は重要になってくる。

 まず、医療者側からの積極的な働きかけが基本である。定期的な観察をおこないながら、話を聞くことに努める。しかし、忙しい外来診療の中でひとりの患者に割ける時間は限られており、外部機関へつなげる支援をおこなう。同じ悩みを共有できる場として患者会「眼瞼・顔面けいれん友の会」への参加は有効である。また、「目と心の健康相談室」といった医療の現場の外で眼科の専門性をもった観点でカウンセリングにあたる活動もある21)。医療的対応を継続しながら、これらの機関を紹介、参加を勧めていくことで疾患から来るストレスを軽減し、疾患とうまくつきあっていく支援をすることも医療者としての治療の一環であろう。

まとめ

 眼瞼痙攣は完治することの難しい難治性の慢性疾患である。患者数の割に未だ正しい診断にたどり着けずにドクターショッピングに陥っているケースもある。まずは3つの症候を的確にとらえて正しく診断することが最も重要である。その上で患者のニーズを丁寧に汲み取り、BTX治療を中心として本編で紹介した治療を補完的に取り入れながら、眼瞼痙攣患者が長く自分の疾患とつきあっていかれるように支援していく姿勢が大切であろう。

本論文について、他者との利益相反はない。

<<引用文献>>

1) Hallett M: Blepharospasm: Recent advances. Neurology 59: 1306-1312, 2002

2) 三村治,河原正明,清澤源弘ほか:日本神経眼科学会眼瞼痙攣ガイドライン委員会:眼瞼けいれん診療ガイドライン(第1版).日眼会誌 115:617-28, 2011

3)Wakakura M, Yamagami A, Iwasa M: Blepharospasm in Japan: A clinical observational study from a large referral hospital in Tokyo. Neuro-Ophthalmol 42:275-283,2018

4) Digre KB: Benign essential blepharospasm-there is more to it than just blinking. J Neuroophthalmol 35: 379-381, 2015

5) 清澤源弘,小町祐子,髙橋真美:眼瞼痙攣の治療. 神経眼科 34:411-420, 2017

6) 小町祐子,清澤源弘:4.眼瞼痙攣の診断.眼科 62:123-128, 2020

7) 清澤源弘,江本博文,若倉雅登:目がしょぼしょぼしたら・・・眼瞼けいれん?片側顔面けいれん?正しい理解と最新の治療法.58,メディカルパブリケーションズ,東京, 2009

8) 若倉雅登:本態性眼瞼痙攣の治療評価のための自覚,他覚検査.神経眼科 18:157-163, 2001

9) Wakakura M, Tsubouchi T, Inoue J: Etizolum and benzodiazepine induced blepharospasm. J Neurol Neurosurg Psychatry 75:506-507, 2004

10) 若倉雅登:眼瞼痙攣の診断法(ドライアイとの関連も含めて).三村治(編):眼科疾患のボツリヌス治療.15-32, 診断と治

11)Kerty E, Eidal K: Apraxia of eyelid opening: clinical features and therapy. Eur J Ophthalmol 16:204-208,2006

12)増田明子,木村亜妃子:眼瞼痙攣の治療.眼科 62:129-134,2020

13)Suzuki Y, Ishii K, Kiyosawa M:Role of GABAergic system in blepharospasm. J Neuroophthalmol 36:349-350,2016

14)鬼怒川雄久, 杉田祐子,佐藤公光子:眼瞼痙攣に対して著効を奏した抑肝散顆粒の使用経験.臨床眼科56:183-190,2002

15)三村治,木村亜妃子,一色佳彦:難治性眼瞼痙攣患者に対する上眼瞼手術の影響.神経眼科34:429-434,2017

16)島崎潤,坪田一男,横井則彦,ほか:ドライアイ研究会診療ガイドライン作成委員会:ドライアイ診療ガイドライン.日眼会誌123:489-592

17)目崎高広:ジストニアの病態と治療.臨床神経学51:465-470,2011

18)Uchida K, Kiyosawa M, Wakakura M: Efficacy of a non-invasive cosmetic forcible trick treatment for blepharospasm: Increase in quality of life due to use of ultra-thin adhesive type.神経眼科37:237-243,2020

19)Mailankody P, Pal PK:Sensory tricks in dystonia: Phenomenology and mechanisms.Neurology India 65:537-538,2017

20) 楡井しのぶ,堂山かさね,国谷暁美ほか:井上眼科病院における遮光眼鏡の選定に影響を及ぼす因子.日視会誌39:217-223,2010

21)荒川和子,小町祐子,大音清香ほか:目と心の健康相談室を利用した患者の実態報告.日本視機能看護学会誌4:21-24,2019

<ABSTRACT>

Diagnosis and Treatment of Blepharospasm

Motohiro Kiyosawa,MD,  Yuko Komachi,PhD

Blepharospasm is an incurable chronic disease characterized by involuntary contractions of the orbicularis oculi, and is diagnosed through the evaluation of sensory, motor, and mental symptoms. Blepharospasm is primarily treated with Botulinum toxin therapy. In addition, medications, sensory tricks, and light shielding glasses are used to alleviate symptoms. In severe cases, surgical procedures may be required. For additional psychological support, patients may be referred to patient associations and medical counseling. It is important to provide ongoing support to help patients maintain their quality of life.

  ーーーーーー

価格:3,520円

FacebookTwitterMixiEmailLineTumblr

第64巻6号:眼瞼痙攣はきわめて難解かつ難治な疾患で,脳神経内科,眼科,形成外科の3科で,それぞれ違った視点からアプローチされている。本特集は,3科の先生全員から,専門的立場から見た本疾患の病態生理と治療法について示唆に富む論文をご執筆いただき,眼瞼痙攣の全体像と将来像が見えてくる内容となった(「企画にあたって」より)第64巻第6号(2021年6月号)目次

●特集 眼瞼痙攣の病態生理と診断・治療

 企画にあたって (岡崎 睦) 625

 脳神経内科医の立場から見た眼瞼痙攣の症候学 (目崎高広) 627

 眼瞼痙攣の病態生理 (鈴木幸久) 637

 眼瞼痙攣の診断と治療法 (清澤源弘ほか) 644

 眼瞼痙攣の診断とボツリヌス治療の実際 (岩佐真弓ほか) 655

 眼瞼痙攣の外科的治療と術後評価 (森 弘樹) 662

 眼瞼痙攣・開瞼失行における現状での私の手術療法 (村上正洋) 670

 多数箇所筋切断による筋肉の不動化とADM手術を組み合わせた眼瞼痙攣の新しい治療法 (野平久仁彦ほか) 682

目次から

Categorised in: 眼瞼痙攣