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2018年9月30日

10145:慶応医学部に詐欺疑惑 BMI治療器を巡る効果捏造問題が波紋:記事紹介

慶応義塾大学医学部に詐欺疑惑 BMI治療器を巡る効果捏造問題が波紋:という記事が文春オンラインに2018年9月29日出ました:

眼科医清澤のコメント:

普遍的に保険診療でも行われ、痙縮を直接的に強く止めるボトックスの効果は歴然としたものなので、これを併用するとBrain Machine Interface療法の効果がいかほどであるのかが解らないだろうということのようです。

ボトックスを眼瞼痙攣の治療に使用している私には記事の中に「ボトックス注射の効果をBMI治療器の効果にすり替えていたとすれば、組織的という点でSTAP細胞を巡る研究データ捏造事件よりも悪質だ」との認識を示す記者もいた:という部分が気になりました。そこでもう少し詳しく調べてみました。少なくも現在用いられているボトックスに関しては不都合な記事ではなさそうです。

ざっくり言うと
• 週刊文春が報じた、慶応大学医学部における「公的研究費20億円」詐欺疑惑
• リハビリ機器・BMI治療器の効果を捏造していた疑いがあるという
• 組織的という点で、STAP細胞を巡る事件よりも悪質だとの声もあるそうだ

週刊文春を購入してみますと、文春オンラインとほぼ同文の短い記事が掲載されていました。

[記事の部分的引用] 

慶応大学医学部で浮上した「公的研究費20億円」詐欺疑惑。「週刊文春」先週号が報じた夢のリハビリ機器・BMI治療器を巡る効果捏造問題が波紋を広げている。

実名告発に踏み切った慶応大学名誉教授の千野直一医師(79)と早稲田大学人間科学学術院の村岡慶裕教授(46)のもとへは、小誌発売直後からNHK、TBS、テレビ朝日、フジテレビなどからの取材が殺到。中には「ボトックス注射の効果をBMI治療器の効果にすり替えていたとすれば、組織的という点でSTAP細胞を巡る研究データ捏造事件よりも悪質だ」との認識を示す記者もいたという。

今回、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)や文部科学省、AMED(日本医療研究開発機構)や厚生労働省に相次いで提出された告発状については、制度上、告発を受理した各機関の窓口から慶応大学側に回付された後、同大のコンプライアンス委員会において調査が行われる仕組みになっている。
「すでに厚生労働省では本案件が担当課長にまで下達されるなど、告発を受理した関係各機関も重大な関心を持っているようです。また、告発状を突きつけられた慶応大学コンプライアンス委員会でも、すでに予備調査を経て本調査の段階に入っていると聞いています。現在はその調査結果待ちといったところですが、委員会が誤魔化しのない真相究明を行えるかどうか、母校の再生はその一点にかかっているといっても過言ではありません」(千野医師)

そんな中、疑惑の震源地である慶応病院リハビリテーション科の医局でも、これまでにない上を下への大騒ぎになっているという。同科の医局関係者が内情を明かす。
「目下、コンプラ委をはじめとする大学側の求めに応じる形で、リハ科の幹部医師らが毎日のように告発への対応に追われています。中には『近く行われる学会の準備にも手がつけられず、困っている』と漏らす医師もいる。リハ科はルーティンワークにも支障を来たすほどの異常事態に陥っています」

村岡教授は「この際、現在進行中のBMIの最終治験も含めた徹底的な調査を望みたい」とも指摘している。慶応大コンプライアンス委員会に課された責務はまさに重大だ。
(森 省歩/週刊文春 2018年10月4日号)

参考事項:(KOMPAS(慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイトを参考に)

① BMI(Brain Machine Interface:ビーエムアイ)療法とは、脳と機械を連動させるシステム、Brain Machine Interfaceを用いた脳卒中片麻痺上肢機能障害の新しい治療法。これまでの脳卒中後のリハビリでは有効な訓練を行うことが出来なかった、重度の上肢麻痺の患者を対象にする。BMI療法は、約7年前から慶應義塾大学リハビリテーション医学教室を中心とするグループで研究されてきており、効果を示す論文を報告している。通常、人が運動を行う際、運動に先立ち運動に関連する脳の領域が活動する。脳の活動から生じた運動の指令は神経を経て筋肉まで伝わり実際の運動が生ずる。しかし、損傷を受けた脳では運動の起点となる脳の活動が十分に認められないことがある。 BMI療法では訓練中に麻痺してできなくなった運動のイメージをしてもらい脳の活動を促し、頭の表面に装着した電極で脳波を測定する。その際、正常な運動の際に起こる事象関連脱同期(ERD)という脳内の活動を検出し、それにあわせて電動装具により受動的に該当する運動を行わせる。これを繰り返すことで脳の活性化と脳の指令を受けて実際に手指の伸展に至るまでの経路を強化し、脳の機能回復ならびに麻痺した筋の筋活動の増加をもたらす。慶応大では手指伸筋群(手指を伸ばす筋肉)のBMI療法、肩関節屈曲筋群(肩関節を前から上に上げる筋肉)のBMI療法を行っている:とのこと。

② 神経ブロック療法:痙縮とは脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺などにより麻痺した手足の筋の緊張が異常に強くなる状態で、手足の指が曲がったまま伸びなくて痛い、肘や膝が屈曲したまま伸びない、――などの症状を起こす。――これらの症状を和らげるには、異常に緊張した筋肉を緩ませる治療が必要。痙縮に対する治療方法の一つに神経ブロック療法がある。――――神経破壊薬であるフェノールもしくは神経筋接合部遮断薬であるボツリヌストキシンを用います。なお、我が国では上肢および下肢痙縮に対して、ボツリヌストキシンA型(ボトックス®)が保険適応になっている。

Categorised in: 眼瞼痙攣