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2018年9月9日

第10110回 眼瞼ミオキミア: 健康教室自著記事紹介

眼瞼ミオキミア 清澤眼科医院 院長 清澤源弘   ――記事引用――― まぶたの軽い痙攣を、一般に「眼瞼ミオ キミア」といい、 日本語の医学用語では「眼輪筋波動症」と呼びます。これは非常に一般的なものであり、ほとんどのものは自然に緩解してしまいます。 眼瞼ミオキミアとは :「ミオキミア 」は、不随意的で自然発生的な筋肉の震えを意味する用語として広く使われています。ミオキミアの動きのほとんどは、刺激を感じる程度のもので、多くの人が目の周りの筋肉で経験していると思います。下まぶたに起こることが多いようですが、上まぶた に見られることもあります。 眼瞼ミオキミアは、片方の目の外下の部分に数秒から1分くらい微細なまぶたのぴくぴくを繰り返して自覚することが多いようです。ぴくぴくといった筋肉の軽い痙攣であり、目 が閉じてしまうほどの強い筋収縮ではありません。 (図1) 眼瞼ミオキミアは通常、一時的なものであり、ほとんどの場合は治療なしで,消失します。ぴくぴくする動きが数秒から数分間続きますが、時には断続的に数ヶ月続くこともあります。しかしながら、症状はあくまで一時的なものであり、長期的な問題を引き起こしませんので、ほとんどの医師はあまり心配しません。 眼瞼ミオキミアの症状 :眼瞼ミオキミアの主な症状は、制御できない不随意なまぶたの痙攣または筋肉の動きです。通常、数秒間でおさまりますが、症状が突然現れたり、突然’消えたりを繰り返して断続的に数日から数週間、まれに数ヶ月間続くこともあります。好発年齢としては成人に多くみられ、学童や生徒のような小児には少ないようです。 眼瞼ミオキミアの原因: ミオキミアの正確な原因は不明ですが、特定の因子が眼瞼ミオキミアの発生の誘因となり、また、症状を増加させることが知られています。これらの因子には、カフェインの消費、不安、ストレス、睡眠不足、長時間に亘るデジタルディバイス使用やテレビ視聴、また、アルコールの飲用および特定の薬物などが挙げられます。しかし、原因はこれらのみとは限らず、稀に、アレルギー反応によって引き起こされることもあります。 眼瞼ミオキミアの治療と対処法: 眼瞼ミオキミアの症状は、概ね数日または数週間かかるものの、通常、治療なしで解消します。 繰り返して症状が出たり、長期に亘って症状が続いたりして心配なようで有れば、眼窩を受診して相談してください。 また、痛みを伴う痙攣や眼脂、羞明などの光に対する感受性の増加、ぼやけ、あるいはまぶたの腫脹などをともなう場合には、医師に相談することが必要です。痙攣が増悪し、長期に亘って解決しない場合には、適切な治療を受ける必要があります。 眼瞼ミオキミアの症状に対して、いくつか自宅で出来る対処があります。 眼の周りを暖める、あるいは冷湿布を用いて冷やすことにより症状が緩和することが有り、効果的です。また、ミオキミアの発症を防ぐあるいは、カフェイン消費や過労、アルコール摂取など、発症の誘因となるものを避けることも大切です。ミオキミアがアレルギーによるものである場合には、医療機関で抗ヒスタミン薬を処方してもらうことで発症が抑えられることもあります。 医療機関を受診した場合、医師はその原因を特定し、まぶたの痙攣の頻度を減らす対処をします。例えば、近年増加しているデジタルディバイスの長時間使用による眼精疲労が誘因になっているような場合、多くの患者さんがドライアイを合併し、症状を悪化させていることが有るため、涙液減少を緩和する点眼薬を処方します。他の原因を含めた眼精疲労が基礎にあれば、ビタミン剤点眼の処方も考えます。また神経症などの基礎疾患がある場合には、抑肝散などの漢方製剤を処方することも考えられます。 気を付けるべき類似の疾患 :眼瞼ミオキミアに似た疾患で治療法の異なるものには何があるでしょうか。 眼瞼ミオキミアを兆候として含むことが有る状態には、ドライアイ、まぶたの炎症である眼瞼炎、角膜のわずかな擦り傷、内向きにまつげの倒れる睫毛内反、眼圧の上昇する緑内障、光に対する過敏症、ぶどう膜炎などが挙げられます。 また、症状は異なりますが、ミオキミアの中には「上斜筋ミオキミア」という眼科受診を必要とするものがあります。これは、片眼の揺れが繰り返し起こることで視界が不安定に動くために見づらくなり、患者さんを不安にさせます。しかしミオキミアで有れば、症状はあっても進行することはありません。 眼瞼ミオキミアはまぶたがぴくぴくする程度の軽微な痙攣ですが、まぶた周囲の筋肉が強い痙攣を起こすものに良性原発性の「眼瞼痙攣」があります。これは眼周囲の筋肉のジストニアと呼ばれる異常運動を起こす障害です。 また、ウインクのように片側の眼画閉じてしまう症状を示す「片側顔面痙攣」といった疾患もあります。これは、顔面神経を刺激する小さな動脈によって顔面神経が圧迫刺激されて引き起こされるものです。これらの疾患である場合には、本格的な治療を必要とします。 もし、これら眼瞼痙攣や片側眼瞼痙攣といった重篤な疾患が疑われる場合には、薬物を使用して問題を軽減することになります。具体的には、ボトックス(ボツリヌスA毒素)を罹患したまぶたの眼輪筋に注入し、一時的な麻痺を起こすことで筋の痙攣を止めることができます。 この処置によってまぶたが痙攣するのを3ヶ月程度まで持続的に防ぐことができます。また、場合によっては抗てんかん薬の内服により症状を緩和させることもあります。 さらに重篤な眼瞼痙攣であつた場合には、形成外科で行われる眼輪筋切除術、片側顔面痙攣で顔面神経への圧迫がある場合には、脳外科でそれを緩めるような圧迫解除の外科手術など、それぞれの症状を改善する方法が検討されることもあるでしょう。 おわりに ほとんどの場合、眼瞼ミオキミアは心配するものではありません。単に、眼瞼筋肉の一時的な痙攣と考えてよいでしょう。力フェインとアルコールの消費を減らし、デジタルディバイスの使用時も小まめに休憩をとるなど、より多くの体息をとることが症状の発生を減少させることにつながります。 清澤源弘(きよさわ・もとひろ) 1978年 東北大学医学部医学科卒業 1984年 東北大学大学院医学系研究科博士課程外科系眼科学専攻 修了 東北大学助手 医学部附属病院眼科 1986年 フランス原子力委員会生物学部門留学 1987年 米国ウイリス眼科病院及びベンシルバニア大学脳血管研究センターに留学 1992年 東京医科歯科大学眼科助教授 2005年 清澤眼科医院開院 ―――引用終了―――---------------------------------- 神経眼科医清澤のコメント:健康教室(School health education)2018.10 第815集 東山書房p96-98より自著記事を採録しました。また、この巻には色覚問題を扱った「色の見え方の多様性に応えるために、色覚の基礎知識と学校で出来る色弱の子供絵の配慮 慈恵医大解剖学講座岡部正孝教授」というミニ特集も組まれています。これは、今秋頼まれている小学校の学校保健委員会での講演の参考になりそうです。さらに本号の特集は症状からわかる子供の目の病気・異常 :戸塚伸吉「涙・目やに」、小笠原孝祐「かゆみ・痛み」、石岡みさき「異物感/開けにくい・開けられない」、松久充子「充血」、宮浦徹「見え方」の各先生の執筆記事も掲載されています。

Categorised in: 眼瞼痙攣