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2018年5月16日

9856:抑肝散加陳皮半夏の眼瞼痙攣への使用に関するメモ

無題抑肝散加陳皮半夏の眼瞼痙攣への使用に関するメモです:

 

本日は、製薬会社の方が抑肝散加陳皮半夏の説明をしに立ち寄ってくださいました。

 

私は、眼瞼けいれんに対して抑肝散加陳皮半夏(ツムラ83)を、神経症を診断名として処方することがあります。文献では、それに近い抑肝散が眼瞼痙攣に効いたという報告もあります。1,2)

 

概要

●「抑肝散加陳皮半夏」は、漢方の古典といわれる中国の医書に収載され、「抑肝散」という元々小児の癇、ひきつけに用いられている処方に、我が国での使用経験から半夏と陳皮という生薬を加えて、成人にも適応するよう工夫された薬方だそうです。
●神経がたかぶるものの神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症に効果があります。

 

〇配合生薬は、当帰(トウキ)、釣藤鈎(チョウトウコウ)、川芎(センキュウ)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)、陳皮(チンピ)、半夏(ハンゲ)

 

甘草の甘みの主成分はグリチルリチンで砂糖の50倍ほどの甘さをもつ。副作用は高血圧症で、特に子供や妊婦・授乳中の女性は注意が必要。他にも低カリウム血症や浮腫みなどを起こしやすい。

陳皮 (ちんぴ)は、中国では、熟したミカン科マンダリンオレンジ果皮を干したもの。日本では熟したウンシュウミカンの果皮を乾燥させたもので代用。

半夏カラスビシャクの塊茎で、成分は鎮吐作用のあるアラバンを主体とする多糖体ホモゲンチジン酸

 

 

〇抑肝散加陳皮半夏の主な副作用としては、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢などが報告されています。 使用できないケースとしては、

1、尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる [偽アルドステロン症]

2、体がだるくて手足に力が入らない、手足がひきつる、手足がしびれる [ミオパチー]

 

なお、本日の情報としては、甘草が入っているので、低カリウム血症には使うべきではないという事でした。

 

◎眼瞼痙攣の治療の第一選択はボツリヌス注射であり、保険適応として認められている治療もボトックスのみです。しかしながら、ボトックスが十分に満足を与えるほどには効かない症例もありますし、またその治療法が高価であるために注射を受けられないという患者も存在します。また、眼の周囲と言う事で顔面への注射を恐れたり、或はその痛みを忌避する患者も少なからず居ます。そのような患者には内服薬の使用が検討される余地があります。

 

更に眼瞼痙攣に処方される西洋医学系のリボトリールやアーテンなどの内服薬には全身的な副作用の出現も想定され、さらにそれらには薬剤性眼瞼痙攣を誘発させる可能性も指摘されています。そこで、副作用が少なく安全性も高い抑肝散を検討することが出来ます。

 

文献としては、

1)  後関利明、石川均、池田哲也、池内梨絵、清水公也、第3回JBSS in Kanto & 第8回心療眼科研究会ジョイントミーティング プログラム・ジョイントミーティング p17、(201467 東京)

 

2) 眼瞼痙攣に対して著効を奏した抑肝散顆粒の使用経験(英文標題:Peroral yokukansan, a Chinese medicine, was effective for blepharospasm.) 鬼怒川雄久, 杉田祐子, 佐藤公光子、臨床眼科56,183-190 (2002.02.15)

Categorised in: 眼瞼痙攣