お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2018年2月15日

9606:眼瞼けいれん (週刊朝日 記事引用)

無題9606:眼瞼けいれん  (週刊朝日 知って得する!新 名医の最新治療 Vol.516)

清澤眼科医院 院長 清澤源弘医師

松尾形成外科 眼瞼クリニック 院長 信州大学形成再建外科 特任教授 名誉教授 松尾清医師

 

まぶたの手術で目の開閉が改善

 

まばたきが多い、目を開いているのがつらい――。こんな人は眼瞼けいれんかもしれない。放置すると重症化し、うつ状態にもつながることもある。症状を和らげる注射や、 新しい手術方法が広がってきている。

 

眼瞼けいれんとは、まばたきがうまくできなくなり、 目を開けづらくなる病気だ。その病名から、まぶたがピクピクする症状を連想する人も多いだろうが、そうした症状はあまり見られない。

清澤眼科医院院長の清澤源弘医師はこう話す。

  日のしょぼしょぼ感や痛み、まぶしいなどの訴えが多いです。まばたきがうまくできず、ドライアイと似た症状を起こすため、目薬をさしながらつらい症状を我慢している人もいます」

発症の原因は脳の異常と推測されているが、基本的には原因不明の病気だ。患者数は1 0万人当たり1.2〜3人と言われ、40代後半以降の女性に多いとされているが、診断されていない患者実数は相当数にのぼる。左ページのチェックリストをみてほしい。10項目中3項目以上が当てはまると、眼瞼けいれんの可能性が高い。

眼瞼けいれんは、まぶたが開きにくい運動症状や、目の不快感やまぶしさといった感覚過敏のほか、これらの症状により起こるうつ症状を伴う病気です. 放置すると症状は悪化していくため、早期に眼科を受診してください」(清澤医師)

患者のなかには、重症化し、目を開けるのが難しくなり、書類作成ができずに失職した事例もあるという。

診察は前出の10項目に基づいた問診のほか、瞬目負荷試験(まばたきテスト)などをおこなっていく。これは、①軽くリズムのよいまばたき( 軽瞬)、②軽いまばたきを10秒間続ける(速瞬)、③強く目をつぶってから目を開く(強瞬)という行動をする検査で、 より詳しい診断と重症度がわかる。

「眼瞼けいれんの場合、これらのまばたきがうまく連続しておこなえなかったり、目が開くのが遅れたりします。その他、画像診断などで類似の病気を除外して診断をつけていきます(同)

<
p style=”margin: 0mm 0mm 0pt; text-indent: 10.5pt; mso-char-indent-count: 1.0;”>ボツリヌス毒素で 筋肉の緊張を緩和

現状、眼瞼けいれんを根本的に治す治療法はないが、症状を軽減する効果的な治療法がある。「 ボツリヌス毒素療法」と呼ばれるもので、限瞼けいれんに対して健康保険が適用される唯一の治療となっている

食中毒の原因菌として知られるボツリヌス菌が作り出す毒素には、神経に働いて筋肉の緊張を緩める作用があります。脳卒中後の手足硬直の改善目的や多汗症などの治療にも広く用いられています」(同)

このボツリヌス毒素を眼輪筋など目の周囲の筋肉に注射すると、目を開じる筋肉の緊張がやわらぎ、まぶたがスムーズに開くようになる。およそ9割の患者の症状軽減が期待できる。

副作用として皮下出血や目の乾き、物が二重に見える複視などがあるが、いずれも頻度は低く、回復可能なものだ。

ただ、難点がいくつかある。まず、比較的安全な薬剤とはいえ、注射部位や量の決定に気を配る必要があり、所定の講習会を受講した医師だけに治療が許されている。

確実なのは、薬を販売しているグラクソ・スミスクラインのカスタマー・ケア・センターに問い合わせることでしょう。近隣で治療が受けられる施設を紹介してくれます」(同)

また、注射後、2〜3カ月で効果が切れる.同医師によると、軽症の場合、一度の注射で済むこともあるが、年3〜4回の注射が必要になるケースも多いという。

「保険診療で1回当たり1万7千円ほどかかります。効果を実感しながら、経済的な問題で年4回打ちたいのを、補助的な治療をおこないながら3回にしている患者さんもいます」(同)

ボツリスス毒素療法の補助的な治療として、遮光眼鏡やクラッチ眼鏡がある。「遮光眼鏡はまぶしくて目が開けられない症状の軽減に役立ちます。また、眼瞼けいれん
にはまぶたを
刺激すると目が開くという特徴があります。クラッチ眼鏡はこの特性を利用したもので、通常の眼鏡にワイヤー をつけてまぶたを常に刺激することで目を開かせます。 ボツリヌス毒素療法と併用すると効果的です」(同)

また、ドライアイ合併例では、ドライアイの治療を おこなうことで症状が軽減

することもある。

一方、うつ症状の軽減のため向精神薬や抗不安薬などが使用される場合もあるが、長期的には症状を悪化させる可能性もあり、あまり勧められないという。

眼瞼けいれんのなかには 向精神薬などの薬剤が原因のものもあり、精神科や神経内科に相談の上、薬剤を減量することで症状が改善するケースもあります(同)

 

まぶたの手術で目が開くように

まぶたで目が塞がっている最重症例や、ボツリヌス毒素療法の効果がない患者には形成外科医がおこなう手術という選択肢がある。

標準的な手術方法としては、眼輪筋や皺眉筋など縮んでいる筋肉を減量する手術が従来おこなわれてきた。「けいれんした筋肉を取り除くわけですから目は開くようになりますが、この手術は体の負担が大きくなることもあります」

こう話すのは、長くまぶたの研究に携わり、眼瞼けいれんの手術を多数施行してきた松尾形成外科・眼瞼クリニック院長の松尾清医師だ。近年、同医師が開発した患者への負担が少ない術式が普及してきている。

「ADM手術」と呼ばれ、まぶたの内側にあるミュラー筋という筋に着目して開発された。 あくびをするとき目を反射的に閉じますが、あの状態こそ眼瞼けいれんの状態です。その日の開閉のカギを握る部分がミュラー筋センサーです」(松尾医師)

ミュラー筋センサーを刺激すると、脳や交感神経、 筋肉に作用し、目の開閉に影響を与えることがわかってきた。

「ミュラー筋センサーの感度が過剰に上がると、目の周囲の筋肉は反射的に収縮して、あくびの際に起こる目を開じた状態、つまり眼瞼けいれんを招きます。この状態は、麻酔作用を持つ目薬をまぶたの裏にさして、ミュラー筋センサーの感度を落とすと改善し、目が開くようになります」(同)

ADM手術では、ミュラー筋センサーの感度を落としたうえで、まぶたを支える腱膜を固定する。手術をすると、ミュラー筋センサーを麻酔薬で麻痺させたときと同様の効果が持続する。 手術の痕はほとんど目立たない。

「まぶたのたるみをとる 術を加えることでさらに効果が得られる患者さんもいます。ADMでミュラー筋センサーの感度を下げると、 ボツリヌス毒素療法の効果も上がります」(同)

既存の筋肉を減量する手術もADMも、まぶたが上がりにくい眼瞼下垂があれば費用は4万5千円ほどだが、難度が高い手術だ。

「手術を受けるならば慎重に施設を選びましょう。日本形成外科学会のホームページで認定施設、教育関連施設であることを確認し、専門医に施術してもらうことを勧めます」(同) ライター・山崎正巳

 

■眼瞼けいれん自己診断

1.瞬きが多い

2.外に出ると、または屋内でもとても眩しい。

3.目を開いていられない(目をつぶっていたい)

4.目が乾く、しょぼしょぼする、痛いなど、いつも目のことが気になる。

5.人ごみで人やものにぶつかる、またはぶつかりそうになる。

6.電柱や木、停車中の車にぶつかったことがある。

7.太陽や風、階段の上り下りが苦手で外出を控えている。

8.危険を感じるので車や自転車の運転をしなくなった

9.手を使って目を開かなければならない時がある

10.片目をつぶってしまう癖がある

Categorised in: 眼瞼痙攣