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2016年7月29日

7998:エリート息子を絞殺した母 難病「ジストニア」が招いた悲劇

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【衝撃事件の核心】「目が開かない!」〝無限の苦しみ〟に悩むエリート息子を絞殺した母 難病「ジストニア」が招いた悲劇

眼科医清澤のコメント:何ともやるせない事件です。一緒に神経眼科の診療をしているE医師がこのニュースを教えてくれました。
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【衝撃事件の核心】「目が開かない!」〝無限の苦しみ〟に悩むエリート息子を絞殺した母 難病「ジストニア」が招いた悲劇: 目が開きづらくなる難病に悩まされ、悪化の一途をたどる長男を献身的に支えていた母親。心身ともに疲労が極限に達して、ついに…© 産経新聞 提供 目が開きづらくなる難病に悩まされ、悪化の一途をたどる長男を献身的に支えていた母親。心身ともに疲労が極限に達して、ついに…

終わりの見えない苦しみに2人の精神は限界を超えた。大阪府東大阪市の民家で長男(33)を絞殺したとして6月、殺人容疑で同居の母親(67)が大阪府警布施署に逮捕された。長男は目が開きづらくなる症状に悩まされ、親子で病院を探し回った末に判明した病名は、脳神経系の難病「ジストニア」。長男は体の一部も思うように動かせなくなり、常に吐き気を催すような状態が続くなど、病状は悪化の一途をたどった。献身的に面倒を見ていた母親も心身ともに疲労が極限に達したのか。親子で心中しようと母親は長男の首を絞めた。しかし、自分は死にきれず、長男から依頼があったとする嘱託殺人罪で起訴された。

子の将来悲観、自分も…

「午後7時9分、逮捕」

6月27日、薄暮の住宅街に警察官の声が漏れ伝わった。警察官とともに自宅から姿をみせた母親は伏し目がちだった。

母親や長男と付き合いが深かった隣家に住むアルバイト男性(65)は「余計なことをしてしまったかもしれない」と、悔悟の念を抱きつつ振り返る。

男性は機転をきかせたつもりだった。きちょうめんな母親がごみ出しの日に2日続けてごみを出していない。新聞もポストに数日分たまっている。「胸騒ぎがした」という男性は、妻(67)とともに近くの交番へ駆け込んだ。

ほどなく布施署員が駆け付けた。呼び鈴を鳴らしても応答はない。男性宅の2階ベランダから母親宅へ移って改めて呼び掛けても無反応だったが、カーテンのすき間から赤い液体が床に広がっているのが見えた。

「血や、血出てるぞ! 救急車を呼べ」

署員の一人が同僚に叫んだ。閑静な住宅街は緊迫した空気に包まれ、応援で駆けつけたパトカーのサイレンが辺りにこだました。

布施署によると、母親は手首を切って2階で倒れていたが、一命は取り留めた。長男は自宅1階和室の布団の上であおむけになっている状態で見つかった。すでに死後数日が経過し、腐敗も始まっていた。首にはネクタイが巻かれ、母親が「自分が絞めた」と認めたため、同署は殺人容疑で緊急逮捕した。

母親は「長男は目が見えない(開けない)病気を患っており、将来を悲観した」と供述した。長男を殺害した後、自らも命を絶とうとしたが、死にきれなかったと吐露した。

5年前から症状の兆候

隣家の男性らによると、母親は約15年前、東大阪市の現在の自宅に引っ越してきた。夫とはすでに離婚しており、両親と死別してからは長男と2人暮らしだった。「(母親は)すらっとした身なりで謙虚な性格。到底人を殺すようには見えない」。男性ら近隣住民は口をそろえる。

長男は府内の国立大を卒業後、システムエンジニアとして、充実した生活を送っていた。しかし、5年ほど前からやっかいな症状に悩まされていた。

「目の奥が痛むんです」 長男がうつむき加減でこうこぼす姿を、男性は覚えている。コンピューター関係の仕事に就いており、長男も当初はストレスから来る一時的な症状と考えた。

だが、症状はおさまるばかりか、悪化の一途をたどった。神経痛からか目は開けづらくなり、肩こりもひどくなる。気分は優れず、吐き気が止まらない。しゃべることさえ、おっくうになる日々が続いた。

総合病院を受診してもストレスが原因と疑われるだけで、真の病名を突き止めるまでには至らなかった。長男は仕事を1年ほど休んだ後、勤務先から解雇されたという。

男性は見るに見かねて自家用車を持たない母親と長男を乗せ、しばしば病院まで付き添った。男性が自ら医者を紹介したこともある。「向こうからお願いされたことは一度もない。ただ、自分にできることはそれぐらいしかなくて…」

多くの病院を訪ね歩き、ようやく病名が判明した。脳神経系の難病「ジストニア」だった。詳しい病院が京都市伏見区にあることが分かり、母親と長男は通院治療を続けた。

「ジストニア」は難治性

2人を追い詰めたジストニアとは一体どんな病気なのか。

NPO法人「ジストニア友の会」のホームページによると、ジストニアは「脳や神経系統の何らかの障害により、持続的または不随意的に筋肉が収縮したり固くなったりする難治性の疾患」だ。思うように体が動かなくなる一方、意思に関係なく筋肉が動き、動作や姿勢に異常をきたす。

川崎市立多摩病院の堀内正浩・神経内科部長は、長男のように「目が閉じてしまう」ケースについて「(1)眠くて、まぶたに力が入らず落ちてしまう(2)ぎゅっと目をつぶってしまう-の2ケースがあるが、ジストニアは後者」と解説する。

原因はストレス、薬の副作用、外傷などだ。日本神経学会ジストニア診療ガイドライン委員会によると、国内では10万人あたり13〜15人の孤発性(遺伝ではない)ジストニア患者がいると推計される。そのうち、眼瞼(がんけん)けいれんの症状を抱えているのは約9千人という。

だが、治療しても症状はなかなか改善しない。就労が困難で身体障害者手帳の申請を行っても、まぶたが閉じてしまうだけで目の機能自体には異常が認められず、障害認定されないケースが目立つようだ。

誤解から近所で悪評も…

隣家の男性にとって、長男は自身の息子とも年齢が近く、ずっと気がかりな存在だった。

働き盛りの年代にもかかわらず、重い病に悩まされる日々。平日に近くの公園まで一人で苦しそうに散歩する長男を見るにつけ、胸が締め付けられた。だが、近所の住民らは詳しい事情を知らないこともあり、誤解して「大の大人が働きもせず、昼間からふらふらして…」といった悪評が立つようにもなった。

「ジレンマだった。つらい病気なんだと(住民に)言ってやりたかった。でも、それは(母親が)望んでいない。苦しむ(長男の)姿を見ていたら、気安く『頑張れ』とは言えない。『無理だけはするなよ』と、毎日そんな気持ちだった」

だが、そんな願いもむなしく、母子は約5年に及ぶ闘病生活に「心中」という手段で終止符を打つことを決意した。

大阪地検は7月19日、殺人容疑で逮捕されていた母親について、長男に頼まれて絞殺したことが判明したとして、嘱託殺人罪に切り替えて起訴した。

「2人は命を削って病と闘っていた」。男性は身近で起きた悲劇に、今もやるせない思いを募らせる。

親子の間にどのようなやり取りがあったのか詳細は不明だ。今後開かれる刑事裁判で真相は明らかになるのだろうか。

Categorised in: 眼瞼痙攣