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2016年5月1日

7711; 眼瞼痙攣におけるGABA性抑制系の働き:慶祝J Neuroophthalmol採用

CV

昨年11月号の神経眼科雑誌(J ophthalmology = Impact Factor: 1.950)の記事に対して私たちが投稿した編集者への手紙が首尾よく受領(アクセプト)されました。その内容を見ていただきたく翻訳してここに採録いたします。

ーーーー投稿したレター・トゥー・ザ・エディターの翻訳引用ですーーー

GABA作用性抑制機構の眼瞼痙攣における働き
Role of GABAergic inhibition system in blepharospasm
Yukihisa Suzuki, MD, PhD1, 2, 3, Kenji Ishii, MD3, Motohiro Kiyosawa, MD,
PhD2, 4 (所属は末尾に)

『神経眼科学雑誌』(35巻)に公表された2つのレビュー「良性原発性眼瞼痙攣は神経可塑性の異常である、動物モデルからの教え(1)、および『良性原発性眼瞼痙攣は単なる瞬目以上のものである』(2)は、いわゆる「2ヒット」仮説に従い、眼瞼痙攣に寄与する潜在的な候補ファクターについて、最近の動物および臨床研究での発見をよく要約している。

私達は、ここで、臨床的に関連するかもしれない追加のトリガーファクターとしてGABA作動性システムを提案する。

多くの様々な仮説が、良性原発性眼瞼痙攣(BEB)を起こす要素としてで提案された;しかし、この病気の原因はまだ不明瞭である。この質問に答えるために、我々は眼瞼痙攣を陽電子断層法(Pet)を使って脳機能変化を研究してきた。

私達の最初の研究のうちの1つにおいて、私達は脳のグルコース代謝を分析した。PETおよび18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)(3)を使って、BEBを持つ25人の患者において。私達は、健康な対象に比べてBEBの患者の視床において脳のグルコース代謝亢進を観察し、私達は、視床および基底核視床皮質の運動回路(4、5)の異常活性がBEBの原因に寄与している可能性を提案した。

Digreは、良性原発性眼瞼痙攣BEB (2)の発症を説明するために、「2ヒット」仮説を導入した。この仮説は前もって持つ眼瞼痙攣の原因(例えば遺伝)と、環境のトリガー(例えば、ドライアイ、眼瞼炎)が、良性原発性眼瞼痙攣BEBを発症するのに必要であるとする。

また、眼瞼痙攣はベンゾジアゼピンやチエノジアゼピンなどの神経精神病学的薬剤の長期投与された人においても報告されている(薬剤性眼瞼痙攣)(6、7)。

最近、私達は21人の薬剤性眼瞼痙攣患者群と、ベンゾジアゼピン長期服用の履歴を持つ24人の薬剤使用健康被検者群(「健全な薬剤服用者」群 )、良性原発性眼瞼痙攣を持つ21人の患者群、そして63人の健康対照群での脳グルコース代謝を調べた(6)。

私達は良性原発性眼瞼痙攣BEBと薬剤性眼瞼痙攣患者の両患者群の視床においてグルコース代謝亢進を観察した。特に、薬剤使用健康群の被験者は眼瞼痙攣の徴候を全く持っていなかったけれども、健康対照群に比べて視床でのグルコース代謝亢進を示した。

我々は、21人の薬剤性眼瞼痙攣の患者で、原因である薬剤を取り除こうと試みた。その結果11人の患者が1回投薬量を首尾よく下げるか、或いは原因である薬を使うことを完全に停止でき、眼瞼痙攣はこれらの患者のうちの6人において改善した。

これらの観察から、私達はベンゾジアゼピンが、眼瞼痙攣をもたらしている環境のトリガーのうちの1つであると考えた。

薬を使っていて眼瞼痙攣を発症しなかった群では、彼らが遺伝的に眼瞼痙攣をおこしやすい性質を持って居なかったので、眼瞼痙攣が発症しなかったのだと考えた。さらに、この医薬品が環境トリガーであったので、眼瞼痙攣の徴候はベンゾジアゼピン中止の後に薬剤性眼瞼痙攣が改善したという仮説を立てた。

私達の観察に基づくと、GABA作動性の薬剤性抑制システムの変化は、眼瞼痙攣を引き起こす主要な環境トリガーファクターのうちの1つであるかもしれない。

現在、ボツリヌス毒素Aの眼瞼への注射は眼瞼痙攣への最も効果的な治療と考えられる。しかし、ドライアイ、瞼炎、および医薬品以外にも他の環境のトリガーが有るかもしれない。そして単純にこれらの要素を除去することが有効な治療になるかもしれない。

PETは、眼瞼痙攣の病態生理学を理解するために強力で効果的なツールである;従って、私達は、眼瞼痙攣の原因を研究し、可能な治療法のオプションを識別するために、PETを使用し続けるつもりである。

References

1. Evinger C. Benign essential blepharospasm is a disorder of neuroplasticity: Lessons from animal models. J Neuroophthalmol. 2015;35:374-379.

2. Digre KB. Benign essential blepharospasm-There is more to it than just
blinking. J Neuroophthalmol. 2015;35:379-381.

3. Suzuki Y, Mizoguchi S, Kiyosawa M, Mochizuki M, Ishiwata K, Wakakura M,
Ishii K. Glucose hypermetabolism in the thalamus of patients with essential
blepharospasm. J Neurol. 2007;254:890-896.

4. Tempel LW, Perlmutter JS. Abnormal cortical responses in patients with
writer’s cramp. Neurology. 1993;43: 2252-2257.

5. Poston KL, Eidelberg D. Functional brain networks and abnormal
connectivity in the movement disorders. Neuroimage. 2012;62:2261-2270.

6. Wakakura M, Tsubouchi T, Inouye J. Etizolam and benzodiazepine induced blepharospasm. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2004;75:506-509.

7. Emoto Y, Emoto H, Oishi E, Hikita S, Wakakura M. Twelve cases of drug-induced blepharospasm improved within 2 months of psychotropic cessation. Drug
Healthc Patient Saf. 2011;3:9-14.

8. Suzuki Y, Kiyosawa M, Wakakura M, Mochizuki M, Ishiwata K, Oda K, Ishii
K.Glucose hypermetabolism in the thalamus of patients with drug-induced blepharospasm. Neuroscience. 2014;263:240-249.

1 Japan Community Health care Organization, Mishima General Hospital,
Mishima, Japan.

2 Department of Ophthalmology and Visual Science, Tokyo Medical and Dental

University, Graduate School, Tokyo, Japan.

3 Research Team for Neuroimaging, Tokyo Metropolitan Institute of
Gerontology, Tokyo, Japan.

4 Kiyosawa Eye Clinic, Tokyo, Japan.

Correspondence and reprint requests: Yukihisa Suzuki, MD, PhD

Department of Ophthalmology and Visual Science, Tokyo Medical and Dental
University, Graduate School, Yushima-1-chome, -5-45, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8519, Japan

Categorised in: 眼瞼痙攣