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2016年3月27日

7596:眼瞼痙攣友の会質問集 第3部:ボトックスについて

7596:眼瞼痙攣友の会質問集 第3部:ボトックスについて

item1眼瞼痙攣友の会会員からのはがき質問集 第3部

3、ボトックスについて

15)発病15年、ボトックス60回、副作用又は症例教えて下さい。

答:ボトックスの主な副作用には短期のもので直接的な投与直後の皮下出血や複視を生じるような外眼筋の麻痺があります。長期的副作用では上瞼の皮膚弛緩などでしょうか?

 皮下出血は注射に伴うもので、 間もなく吸収され問題は残しません。
 閉瞼不全(まぶたがを閉じにくくなる)もあり得る合併症で、流涙や眼が乾く症状が出ることがあります。これも週単位で回復します。眼瞼下垂と複視(物がダブって見える)、調節麻痺(ピントが合いにくい)もあり得ます。頭痛、めまい、発疹、全身の筋力低下なども報告があります。
 特に初めての治療の時には量を決めないとなりませんから、多くてこのような症状を出すか、少なくて効かないという結果になる場合が多いです。2回目以降ではそれらの頻度は下がるでしょう。私は、標準的な初回の1点を1,25単位(計12点、だと計18単位)よりは2,5単位程度(眉間も含めて計16点、計30単位くらい)にして、全く効かなかったという批判は避けようとしています。

 ボトックス施注60回、これは年に4回とすれば15年でたどり着く、ありうべき到達点です。眼輪筋の切除ではなくても、簾(のれん)の様に視線を遮る皮膚弛緩への切除手術も考えられる時期でもあるのかもしれません。

16)2000年から4~5ヶ月毎にボトックス注射を受けて今年78才になります。これからも続けるつもりですが、年齢的に副作用が出るのではないかと心配です。如何でしょうか?

答:年齢に関連した副作用については、まずは心配ないでしょう。3月以上の間隔を置いてボトックス注射を打ち続けられているならば、それは優等生の患者さんです。この年齢になりますと、足が弱ったりして通院が困難になる可能性があります。その場合には、お伝えいただけばご近所にボトックスを打てるという医院を探して紹介しますが、紹介先に対して堪能できずに当医院へ戻って見える方々もしばしばお出でになります。注射施術に対する施術医師の慣れと、それに伴う手ばやさが、痛みの総量に反映される故にそれを比較されるのでしょう。私が上京した平成4年頃から早くも24年です。50歳代だった患者さんがこの年齢に差し掛かって居られるのですね。

17)ボトックス注射で下肢の筋力低下等、副作用かと思われる症状がでた場合①遠隔での筋力の低下はありうるか?②今後の治療はどのようにすべきか(ボトックスの量を減らす等すべきか)教えていただきたいです。

答:①上記の15)回答の通り報告がないわけではありませんが、普通はそのような例は見かけません。②もともとのジストニアの悪化かもしれないと考えて、神経内科医師で首以下の部位も含めたボトックス治療を扱っている医師への紹介を考えますが、おそらくはボトックスの所為ではないでしょう。

18)現在、眼、口に副作用が出ていますが、さらに他の場所に症状がでている患者さんはいますか?その場合の治療方法など教えて下さい。
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答:眼瞼痙攣であれば殊にメイジュ症候群と呼ばれる形のものである場合には、顔面全体に攣縮の症状が出ます。これは「副作用」ではなく、原疾患の症状としてのものですけれど。
上の絵は有名な画家ブリューゲルの描いた絵です。この例では口が開いてますが、メイジュでは眼瞼痙攣に加えて、水を吸うような口の動きを示します。

19)ボトックスやり始めて3~4年になるが、やるたびに目の腫れ、赤みが増して、腫れが引くのに2ヶ月以上かかる。主治医もアレルギーがきついので止めようかと言っています。他に方法は?:
eyelid_eczema(眼周囲の接触皮膚炎:写真は借用)
答:ボトックス以外に眼瞼痙攣の第一選択の方法はありません。何に対するアレルギーかを37種の広範なアレルゲン採血検査で見てみることも可能かもしれません。効き具合と薬害をはかりにかける訳ですが、もしこれが本当にボトックス薬剤へのアレルギー反応であるならば、使い続けることには血圧低下や呼吸停止など本当の循環器系を含む危険なショック引き起こす危険があるかもしれないと考えます。もしかすると、単にアルコールに対する接触皮膚炎なのかもしれません。それであれば、注射前の消毒をヒビテンやイソジンに換えれば済むことです。最近実際に当医院では井上眼科の若倉先生のやり方をまねて、アルコール消毒をやめたら、施術後の皮膚炎はほぼなくなりました。

20)発症してから4年になりボトックスは18回治療しています。長く注射をしていてもいいのでしょうか。回数を重ねる度に人によっては効果が出づらくなりますか?注射の効き目はありません。(75才)

答:年齢や繰り返しの施術のために効きにくくなることは無いとはされてます。「効果がない」というのであれば、いったん定期的に行っている注射を中断してみてもよいでしょう。多くの場合には痙攣が増して、打って欲しいと言う様になることが予測されます。実は効いているのだが、実感が薄いというケースは多いです。次の注射の時には、完全にはボトックスの効果が切れていなければ、同じ量のボトックスでの症状改善は、初回の最悪の時よりは効果が少なく感ずる理屈ともなります。

21)過去4回ほど左眼だけボトックス治療を受けたところ一年位前よりまぶたが下がってしまい外出も危険な状態です。顔面けいれんとの関係、ボトックスを続けてよいか、中止したほうが良いか、又、まぶたを少しでも上げる方法など、若倉先生のご指示をいただきたく書きました。

答:清澤がお答えします。左だけという事はこの患者さんは左の片側顔面痙攣なのでしょうか?もしそれが、顔面神経麻痺の回復後に出たものだとすれば、普通の片側顔面痙攣よりはボトックスが効きすぎる傾向がありますからご注意を。瞼が上がらないならば、筋無力症は無いか?なども考えて、調べましょう。加齢性の眼瞼下垂の成分が重なっているならば、眼瞼下垂手術の適応が見つかることがあるかもしれません。

22)10年前頃から注射、手術、注射を続けていますが、最近は注射の後、目が痛くなります。続けるのは余り良くないのでしょうか?

答:眼瞼痙攣が今も有るならば、ボトックスを止める理由は無いと思います。痛くなる原因を考えましょう。閉瞼が弱くなって角膜が露出し、角膜に傷がついているのかもしれません。角膜染色テストやシルマーテストなどのドライアイのテストをします。もし、ドライアイであれば、次回ではボトックスの投与量を減らし、またドライアイ対策としての点眼やプラグの挿入も併せて行うことも考えられます。具体的なドライアイへの対策は本日の私の講演の最後の部分でお話しました。温罨法やリッドハイジーン(眼瞼の清拭)も試せるでしょう。

23)「眼瞼けいれん」を発症する原因は何ですか。ボトックス治療を途中で止めたら治療開始前より悪化するのでしょうか。

答:本日のお話では1)本人の体質と2)ドライアイなどの状況が重なって発症すると説明させていただきました。本人の遺伝的な素質として、我々は脳内の神経伝達物質であるGABA(ギャバ)やベンゾジアゼピンに対する神経伝達の仕組みに関する遺伝的素因があるのではないかと考えて研究も進めていますけれど、まだ正解にはたどり着けてはいません。ボトックスは、あくまで究極の対症療法なので、途中でその投与を中止しても、初回受信時の時の眼瞼痙攣が最も悪かった状態まで戻るだけでだと考えます。ご本人の状況がボトックスを中断できるという事であるなら、いったん中止して様子を見ても全く構わないでしょう。必要なら、その後いつでも再開することは可能です。

24)眼瞼けいれんのためボツリヌス注射を受けています.医療を始めて8年になります。毎年少しずつ病状が進みボトックスの量も増えてきています。症状の進行をストップ(あるいは遅らせる)治療はありませんか。

答:残念ですが、ボトックスに置き換えられる主たる治療法は現在ありません。状況に応じてボトックスを打ちながら、ドライアイ対策、遮光眼鏡、クラッチなど併用できる療法をすべて使うという事になります。それでもだめなら眼輪筋切除手術も最後の選択肢に含め、必要なら知り合いの形成外科医に紹介をします。ボトックスの量は若倉式の評価点数0-9点の評価値を見つつ、0-2なら少し減らし、3なら同量で、4-5以上なら1割程度増量と考えて量は調整しています。

25)ボトックスを打つタイミングについて・まばたきの増加を自覚して、早い方が効果が長く続くなどタイミングによる違いがあるのか。

答:早い方が効果が長く続くという訳でもないと思います。再発をわずかに自覚するとその後2週間程度で急に痙攣は強くなりますから、いったん再発したら次の来院予定まで30日間は待てないでしょう。ボトックスを打ちたくなったら、お電話いただき再来の時間を決めて、来院日にすぐにボトックスを打ちましょう。

26)ボトックス・両眼に計50単位使用中です。減量する目安は?

答:私は再発時の若倉式での評価点を見て決めます。9点満点で1-2なら1割程度減量。4-5点以上なら1割程度増やすという方法にしています。しかし上限は基本的には50単位まで。通常50単位以上にするのは強いメイジュ症候群で、両眼と両方の口の回り、それに眉間や鼻の横など投与部位が16点を大きく超える時だけとしています。ただし、これは私の視的なデザイン法で有って、普遍的なものではありません。(この質問は第24問にも関連しています。)

27)現在2回ボトックスをしましたが余り効き目がありません。これ以降もボトックスの効果は同じでしょうか。症状は1日おき位にいくらか良い日と悪い日が交互にきます。こういう症状ってあるのでしょうか。

答:日による症状の変動が有ることは時々患者さんから聞きます。ボトックスが効かないと言うなら、注射を中止してみて、症状が耐えられないことが確認できたらまた打ったらよいでしょう:と説明しています。私は、あくまで患者さんに「再投与を希望させられるかどうか?」で、ボトックスを打つか打たないかを決めます。どんな方法でも良いから、治してほしいのだというお気持ちはわかりますけれど。

28)ボトックスを打っておりますが、自覚するほどの効果はまだ出ておりません。ただ唯一の治療と思い3ヶ月に1度受けております。目の回りの打つ場所等でも効果の違いが出ますでしょうか?

答:打つ場所への工夫の余地はあると思います。本日の三村先生がメイジュ症候群に使うと言って紹介された鼻根部と鼻翼脇などにも加える投与法は有効そうです。遮光レンズ、クラッチ眼鏡、ドライアイ対策など併用の療法も最大限工夫しましょう。温罨法、リッドハイジーン(眼瞼清拭)、コラーゲンまたはシリコンの涙点プラグ、などなどの方法もあります。場合によっては抑肝散加陳皮半夏、アーテン、リボトリールの少量の内服も併用します。手術での眼輪筋切除は最後の手段ですが、それを受ければボトックスを打つ必要回数が減るわけではありません。

(これで第3部の質疑応答を終了します。荒川看護師にも見てもらい、4月3日に微細な修正を加えましたました。)

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