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2013年8月23日

4676 微量「毒素」を局所に注射 広がるボツリヌス療法 :の記事です

日本経済新聞のプラスワンというコーナーの取材記事にインタビューを乗せていただきましたので関連部分を収載させていただきます。

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ボツリヌス療法の歴史が古いのが、「眼瞼(がんけん)けいれん」に対する治療だ。眼瞼けいれんは、まぶたが垂れ下がり閉じてしまったり、まばたきがうまくできなかったりする病気。まぶしさを感じたり人や電柱などに衝突するため、外出に支障が出る。

 「まぶしさや目の乾きから、ドライアイだと思っている人も少なくない」と清澤眼科医院(東京都江東区)の院長、清澤源弘さん。原因がわからないタイプは60歳以上の女性に多く、パーキンソン病の症状の一つとして発症するほか、一部の向精神薬を服用している場合にも起こる。

 「ボツリヌス療法では、目頭やまぶた、目の下など、6カ所程度に薬を皮下注射する。効果が表れるのは注射から2~3日後。最も効果を実感できるのは2週間から2カ月ぐらいの間。その後3~4カ月ごとに治療を継続する」と清澤さん。

 ボツリヌス療法で局所に注射する「毒素」の量は致死量の数十~数千分の1と少なく、安全性が確認されている。今は80カ国以上で使われ、日本ではすべての治療を合わせると10万人以上の使用実績があるという。◇ 

ーーー記事の引用ーーー
微量「毒素」を局所に注射 広がるボツリヌス療法
(1/2ページ) 2013/8/17付 記事保存

 原因不明の大量の汗をわきの下にかく多汗症の治療法として、昨年11月に「ボツリヌス療法」が健康保険の対象になった。この治療法は、食中毒の原因菌のボツリヌス菌が作り出す「毒素」を有効成分とする薬を使う。わきの汗のほか、脳卒中の後遺症や、まぶたの疾患の治療などにも用いられるボツリヌス療法について、専門家に聞いた。

 ボツリヌス療法は、菌が作り出す「毒素」を局所に注射する治療法。毒素が神経から汗腺や筋肉に伝わる信号をブロックし、効果を発揮する。昨年、ボツリヌス療法が健康保険の対象になったのは「腋窩(えきか)多汗症」という体の不調だ。誰でも暑い季節には汗をかくが、暑いといった理由とは関係なく、原因不明の大量の汗でシャツに大きなしみができてしまう場合は多汗症かもしれない。

■数カ月続く効果

 「わきの下の多汗症の場合、約7割の人は塗り薬で症状を抑えられる。しかし、塗り薬では効果が弱いときや、ひどいかぶれで使えない場合はボツリヌス療法を行う」と、多摩南部地域病院(東京都多摩市)の皮膚科医師、藤本智子さんは話す。

 ボツリヌス療法では、薬をわきの皮下に十数カ所注射する。薬が神経から汗腺への刺激を抑えるため、発汗が抑えられる仕組みだ。

 注射後、2~3日で汗の量が減り始め、効果は4~9カ月持続する。ただし、根治療法ではなく、薬が切れれば効果がなくなり、必要に応じて数カ月ごとに治療を継続する必要がある。

 脳卒中後の後遺症に対する治療も注目されている。脳卒中では、命が助かっても介護が必要な後遺症が残るケースが多い。ボツリヌス療法は、その後遺症の一つ、手や脚の筋肉がつっぱる「痙縮(けいしゅく)」に効果がある。痙縮は、筋肉が緊張しすぎるために手足が動きにくかったり、勝手に動いたりする障害。手指や肘、ひざが曲がったままになることが多く、痙縮が続くと筋肉が固まり、関節が動きにくくなる「拘縮(こうしゅく)」を起こす。

 「痙縮があると衣服の着脱や介護がしにくくなるほか、リハビリもしにくい」と東京慈恵会医科大学(東京都港区)のリハビリテーション医学講座教授、安保雅博さんは指摘する。

■介護の軽減にも

 痙縮に対するボツリヌス療法では、患者の状態に応じて適切な筋肉に薬剤を注射する。「筋肉が緩みつっぱりが減って関節が動かしやすくなるため、介護が楽になる。また、数カ月~1年の期間は必要だが、ボツリヌス療法で筋肉を緩めた上でしっかりとリハビリをすれば、肩や肘を伸ばしたり、物を押さえたりといった機能回復にもつながる。それには、リハビリテーション科がある医療機関での治療がいい」と安保さん。

 治療により活動量が上がれば、脳卒中の再発の危険度も下がり、スムーズな動きで転倒も少なくなる。後遺症を発症してから数年がたつ、重度の痙縮の場合にも効果があるという。
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ボツリヌス療法の歴史が古いのが、「眼瞼(がんけん)けいれん」に対する治療だ。眼瞼けいれんは、まぶたが垂れ下がり閉じてしまったり、まばたきがうまくできなかったりする病気。まぶしさを感じたり人や電柱などに衝突するため、外出に支障が出る。

 「まぶしさや目の乾きから、ドライアイだと思っている人も少なくない」と清澤眼科医院(東京都江東区)の院長、清澤源弘さん。原因がわからないタイプは60歳以上の女性に多く、パーキンソン病の症状の一つとして発症するほか、一部の向精神薬を服用している場合にも起こる。

 「ボツリヌス療法では、目頭やまぶた、目の下など、6カ所程度に薬を皮下注射する。効果が表れるのは注射から2~3日後。最も効果を実感できるのは2週間から2カ月ぐらいの間。その後3~4カ月ごとに治療を継続する」と清澤さん。

 ボツリヌス療法で局所に注射する「毒素」の量は致死量の数十~数千分の1と少なく、安全性が確認されている。今は80カ国以上で使われ、日本ではすべての治療を合わせると10万人以上の使用実績があるという。◇            ◇

■自分に合う治療法を選ぶ

 「疫学調査によると、欧米人の腋窩多汗症は人口の2.7%であるのに対し、日本人は約5.8%と多い。一方で、何の治療もしていない人が7割以上を占める」と藤本さん。人前で話すときに汗が気になる、接客や営業で他人に不快な思いをさせているのではないか不安、といった日常生活での悩みはなかなか医療機関での治療には結びつかず、セルフケアで対処する人が多いからだ。

 しかし、最近では大学病院などで「発汗外来」などが設けられ、治療の対象として認知されつつある。治療法も、塗り薬、微弱電流で発汗を抑えるイオントフォレーシス、ボツリヌス療法、手術など多様だ。「汗が気になる夏場だけボツリヌス療法の治療を受け、そのほかは塗り薬で対応するといったこともできる」と藤本さん。多汗症の悩みがあれば、まずは皮膚科を受診し、自分に合う治療法を見つけたい。

(ライター 武田 京子)

[日経プラスワン2013年8月17日付

Categorised in: 眼瞼痙攣