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2021年7月12日

12985:鉗子分娩による角膜外傷の臨床的特徴;日眼会誌記事紹介です

清澤のコメント:最新の日眼会誌が届けられました。私がみている患者さんにもこのカテゴリーに含まれる出生時の鉗子分娩による右目角膜にデスメ膜破裂があり、弱視化している75歳の男性がいます。この報告は京都府立医科大学でまとめたものですが、見事にこの疾患の特徴が抽出されています。受診患者の平均年齢も高く、吸引分娩も行われるようになって新しくこの外傷ができることはもう少ないのでしょうか?。右眼に多かったというのは、最初の報告とは違う結果だったそうです。眼科医の一口知識として採録して置きましょう。

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臨床研究

小林 瞳1)2), 福岡 秀記1), 松本 佳保里1), 曽田 里奈1), 春日 健孝3), 木下 茂1), 外園 千恵1)1)京都府立医科大学眼科学教室
2)京都第二赤十字病院眼科
3)春日レディスクリニック

目的:鉗子分娩による角膜外傷症例の臨床的特徴を検討する.
対象と方法:2004年~2020年に京都府立医科大学附属病院眼科で鉗子分娩による角膜外傷と診断された症例を対象とし,初診時年齢,患眼,初診時最良矯正視力,Descemet膜破裂の方向,角膜乱視度数,等価球面度数,眼軸長,角膜内皮細胞密度,角膜の治療内容をレトロスペクティブに検討した.
結果:症例は16例〔男性10例女性6例,初診時年齢56.8±10.8歳(平均値±標準偏差)〕で,患眼は右眼14例(87.5%),左眼2例(12.5%)であった.初診時最良矯正視力(logarithmic minimum angle of resolution:logMAR)は患眼で1.2±0.8,健眼で-0.07±0.2(清澤注:患眼0.063程度、健眼1.25程度)であった.Descemet膜破裂の方向は垂直方向が11例と多かった.角膜乱視度数は患眼で3.60±1.80 Dと健眼で0.80±0.40 D(p<0.0001)であった.等価球面度数は患眼で-5.70±6.60 D,健眼で-1.40±1.60 D(p<0.05)と患眼では有意に近視が強かった.眼軸長は患眼で25.0±1.0 mm,健眼で24.2±0.6 mmであった.角膜内皮細胞密度は患眼で912±300/mm2(8例で測定不能)と健眼で2,739±263/mm2であった(p<0.0001).4例で角膜内皮移植術,1例で全層角膜移植術を施行した.
結論:鉗子分娩による角膜外傷は右眼に多く,角膜内皮細胞の減少を引き起こしていた.角膜内皮細胞密度が減少し水疱性角膜症に至った場合には,角膜内皮移植を含む角膜移植が必要になる.(日眼会誌125:668-672,2021)
キーワード
鉗子分娩, Descemet膜破裂, 角膜乱視, 角膜内皮細胞密度, 角膜内皮移植, 全層角膜移植術

別刷請求先
〒606-8566 京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465 京都府立医科大学眼科学教室 福岡 秀記

Categorised in: 角膜疾患