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2021年2月28日

12690:アルコール手指消毒による眼の外傷に注意!フランスでアルコール消毒に伴う眼の障害を起こした小児が増加:当医院でも本当に起きた!

清澤のコメント;手に噴霧した消毒用のアルコールが小児の目にかかるという事故が本当に起きています。当院の例では角膜に障害はありませんでした。親御さんが手に噴霧するときには横にいる子供に十分に気を付けてあげてください。先の(2月16日)日刊ゲンダイの私の署名記事と同様の事案です。原著論文著者のロッチルドファウンデーション病院はパリ市の北部にありロスチャイルド財閥が作った眼科専門病院で、シテ島にあるオテルデユーと並ぶパリの眼科では大所です。

ーーー日経メディカル記事ですーーーー

JAMA Ophthalmology誌からアルコール手指消毒による眼の外傷に注意!フランスでアルコール消毒に伴う眼の障害を起こした小児が増加

 フランスRothschild Foundation HospitalのGilles C. Martin氏らは、COVID-19パンデミックにより、アルコールをベースとする手指消毒液(ABHS)が広く設置されるようになり、中毒コントロールセンター(PCC)の全国的なデータベースに登録されていた、意図しないABHSによる小児の眼の事故が、2020年は前年同期に比べ大きく増えていたと報告した。結果は2021年1月21日のJAMA Ophthalmology誌電子版に掲載された。

 COVID-19の感染予防に役立てようと、公的な場所に設置されるABHSが増えている。ABHSには腐食性はないが刺激性があり、特に小児では、眼に入ると外傷を起こす可能性がある。これまで、ABHSを誤って摂取した小児の症例については報告があったが、ABHSが眼に入った場合の害については、データはほとんどなかった。そこで著者らは、ABHSの眼への暴露事故の頻度、眼病変の重症度などを検討するために、ケースシリーズ研究を計画した。

 フランスでは8カ所あるPCCの症例を、全国データベースに報告している。そこでデータベースから、ABHSを含む化学物質の眼への暴露があった18歳未満の小児に関する症例を検索し、年齢、性別、暴露状況、症状、病変の重症度を調べた。検索の対象期間は、2020年4月1日から8月24日までと、比較のために前年の同じ期間とした。また著者らの勤務する眼科救急紹介センターの症例についても、同じ期間について分析した。

 2020年4月1日から8月24日までに、PCCデータベースに報告されていた小児の化学物質暴露件数は、2019年の2553件(小児患者の4.2%)に比べ、2020年は2336件(2.2%)で、差は2.0%(95%信頼区間1.9-2.2)と有意に減少していた。しかし、眼へのABHS暴露件数は、2019年が33件(1.3%)に対して、2020年が232件(9.9%)で、差は8.6%(95%信頼区間7.4-9.9)になった。小児の中毒事故に占めるABHS症例の頻度は、前年同期の約7.6倍になっていた。

 2020年の化学物質暴露症例に占めるABHS暴露例の割合は、4月は5%だったが、5月は9%、6月は10%、7月は11%、8月は15%と徐々に増加していた。

 2020年の症例のほとんど(269人、97.8%)は軽症患者で、報告された症状は疼痛、ヒリヒリ感、結膜の充血だった。6人が中等症で、それらの患者には限定的な角膜炎が認められていた。

 2020年には、公共の場でのABHS暴露症例が63件報告されていた。うち47件は店舗や商店街で発生しており、5件はレストランで、5件は公共空間、1件は映画館で、1件はスポーツアリーナ、1件はプールで、残りの3件はそれ以外の公的な場所で発生していた。すべてCOVID-19に対する予防策として設置されていた、センサー式またはフットスイッチ式のディスペンサーが原因だった。

 ABHS暴露症例に占める公共の場での発生割合は、時間とともに増加する傾向を示した。5月は12.4%だったが、6月は16.4%、8月には52.4%になっていた。2019年には、公共の場での暴露は発生していなかった。

 2020年4月1日から8月24日まで、著者らの3次病院眼科救急に搬送され入院した小児患者は1657人いた。このうち眼の化学物質暴露症例は80人(5%)だった。前年同期と比べると2469人中98人(4%)で、眼の化学物質暴露症例の差は0.9%(-0.4から2.1%)で、差は見られなかった。しかし、ABHS暴露症例による小児の入院患者は、2019年が1人のみだったのに対して、2020年には10人(16件)だった。

 入院患者の8人に角膜潰瘍または結膜潰瘍が認められ、6人は角膜表面の50%超が潰瘍化していた。2人(16%)の患者は、全身麻酔での羊膜移植を必要とした。1人は初回の羊膜移植から10日経っても角膜上皮の再生がうまくいかず、2回目の羊膜移植が必要になった。

 これらの結果から著者らは、フランスではABHSによる小児の眼の暴露事故が増えていることが示唆され、手指消毒のためのデバイスを誰もが安全に使用できるよう設置場所などを工夫すると共に、小さな子どもを持つ親や保育者に対して、小児の意図せぬ暴露に関する注意喚起を行う必要があると結論している。

 原題は「Pediatric Eye Injuries by Hydroalcoholic Gel in the Context of the Coronavirus Disease 2019 Pandemic」、概要はJAMA Ophthalmology誌のウェブサイトで閲覧できる。

Categorised in: 角膜疾患