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2021年1月23日

12598:「無虹彩症の診療ガイドライン 41」が公表されました。

無虹彩症の診療ガイドライン 41

清澤のコメント:日本眼科学会誌に「無虹彩症の診療ガイドライン 41」が掲載され、ネットにも出ています。無虹彩の患者さんもいますが、小眼球や前房クリベージ症候群などで時に関連する疾患の相談を受けることもあります。最近は虹彩付きコンタクトレンズの商法もしました。全文は長大なので、また患者さんが来たときにポイントを見るとして、一般の眼科医としてはまず次のサマリーを理解すると良いのではないでしょうか?


ガイドラインサマリー
(CQ 番号 CQ サマリーおよび推奨提示 推奨の強さの順で記載されています。)


1 無虹彩症の角膜実質混濁に対して,角膜移植は推奨されるか?
無虹彩症の角膜実質混濁に対して,角膜移植を行わないことを弱く推奨する. 角膜移植によって得られる視機能の改善は,無虹彩症の併発症により限定的である.また,長期的には緑内障および経年的な移植片機能不全により視力予後は不良である場合が多い. 「実施しない」こと を弱く推奨する

2 無虹彩症の角膜上皮幹細胞疲弊症に対して,手術加療は推奨されるか?
無虹彩症の角膜上皮幹細胞疲弊症に対して,手術加療を行うことを弱く推奨する.具体的には,他家輪部移植または培養口腔粘膜上皮移植を行うことで,ある程度の確率で眼表面再建を達成することが期待できる.また角膜実質混濁を合併する場合には,角膜移植の併用が視力向上に有用であることが多い.「実施する」ことを弱く推奨する

3 無虹彩症の白内障に対して,手術加療は推奨されるか? 無虹彩症の白内障に対して,手術加療は視力の改善が期待できる症例が存在する一方で,水晶体囊やZinn小帯の脆弱性に伴う手術の難度や,術後の緑内障の悪化,anterior fibrosis syndrome,水疱性角膜症のリスクが高いため,手術に伴うリスクを考慮し,十分な説明を行ったうえで実施することを推奨する.「実施する」ことを 弱く推奨する

4 無虹彩症の高眼圧・緑内障 に対して適切な治療オプションは何か? 眼圧下降を目的として,①点眼・内服などの薬物による眼圧下降療法,②流出路再建手術(隅角切開術,線維柱帯切開術),③濾過手術(主に線維柱帯切除 術),④緑内障インプラント手術(ロングチューブ手術),⑤毛様体凝固術を行う. 治療の選択は,まず点眼・内服などの薬物療法を副作用に留意して行い,効果が得られない場合は,流出路再建術を検討する.流出路再建術実施が困難または奏功しなかった場合に,線維柱帯切除術またはロングチューブ手術を選択する.患眼の状態,術者の経験,緑内障インプラント手術施行のための施設認定を受けているかといった要因を勘案して決定することを推奨する.それらの治療が奏功しない場合に,眼球ろうなど視力予後不良の合併症リスクを考慮しても有用性が高い場合に限り,毛様体凝固術を選択することもある.「実施する」ことを 強く推奨する

5 無虹彩症のロービジョンケアとして何が推奨されるか? 無虹彩症の視機能向上を目的としたロービジョンケアとして,屈折異常に対する屈折矯正が基本である.そのうえで,拡大鏡・遮光眼鏡・弱視眼鏡・拡大読書器などの視覚補助具,人工虹彩付きソフトコンタクトレンズ(SCL)を推奨する. 「実施する」ことを強く推奨する

6 無虹彩症の羞明に対する治療として何が推奨されるか? 無虹彩症の羞明に対する治療として,遮光眼鏡および人工虹彩付き SCL が推奨される. 「実施する」ことを強く推奨する

更に付表で解説されている「重要用語の解説」に示された略語一覧は次の通り。、用語名、 解説もご覧ください。


・黄斑低形成: 網膜の黄斑部の形成が先天的に十分ではない状態.生理的陥凹の消失,黄斑部血管走行異常,眼底検査での黄斑反射消失を特徴とする


・角膜実質混濁: 角膜は上皮,実質,内皮の 3 層に分かれるが,実質が混濁した状態


・角膜上皮幹細胞疲弊症 :角膜上皮幹細胞は角膜と結膜の境界領域である輪部の基底部に存在することが知られている.この細胞が消失して混濁と血管を伴った結膜上皮が角膜上に侵入することで視力が低下した状態

・眼球振盪症 :両眼が不随意に一定のリズムで揺れ動く状態

・羞明: まぶしい症状

・小眼球: 先天的に眼球が小さい状態.正常の眼球容積の 3 分の 2 以下,すなわち眼軸長が年齢の正常の約0.87 以下とするのが一般的

・ロービジョンケア :視覚障害者・児へのリハビリテーション

Categorised in: 角膜疾患